34-ケビン・デュラント
ケビン・デュラントが語った「体で覚える」シュートの極意
― 反復練習の鬼が教えてくれた唯一にして最高のアドバイス ―
「君のような素晴らしいシューターになるにはどうしたらいい?」
もし誰かにそう聞かれたら、あなたはなんて答えるだろう。才能?センス?指導者?環境?
だが、NBA屈指のスコアラー、ケビン・デュラントは違った。彼が返したのはシンプルすぎるほどシンプルな答えだった。
「俺はバスケットボールを始めた頃から、何度も何度も繰り返しシュート練習をし続けてきた。そしてひとたびボールがリングに沈む感覚を味わうと、筋肉がそいつを記憶し始めるんだ。体で覚えるってヤツだね。何かを習得したい時は、反復作業こそがベストの方法だと思ってる。来る日も来る日も体育館に行ってシュートを打ち続ける。それが俺からの唯一にして最高のアドバイスだね。」
「特別な才能」よりも「繰り返し」
デュラントはNBAにおいて、間違いなく“才能の化け物”のひとりだ。213cmという長身、柔らかいタッチ、自在なドリブル、ミッドレンジからスリーポイントまで打てるシュートレンジ。
だが本人は、才能の話を一切しない。ただ「繰り返しがすべて」と言い切る。これは、いかに彼が自分の成功を“才能”に頼っていないかの証明でもある。
デュラントの家は決して裕福じゃなかったし、バスケに集中できる環境も整っていたわけじゃない。だが彼は、「どんな日でもバスケットボールに触れていた」と語っている。
シュート練習は、彼にとって「日課」だった。「1日でも休むと、体がバスケを欲しがる」と言うほど、日々の練習が体に染みついていた。
「筋肉が記憶する」ってどういうこと?
デュラントの言葉の中でも特に印象的なのが「筋肉がそいつを記憶し始めるんだ」というフレーズ。これ、スポーツの世界では「筋肉の記憶=マッスルメモリー」と呼ばれるものだ。
要するに、何度も同じ動きを反復することで、頭で考えなくても身体が勝手にその動きを再現してくれる状態のこと。
バスケのシュートにおいては、フォーム、タイミング、リリースポイント、ボールスピン、体重移動など、無数の要素が絡み合っている。それを一つひとつ意識していては、試合で即座に動けない。だからこそ「反復」する必要がある。
何千、何万本と打ち続けた先に、「フォームを考えなくても入る感覚」がやってくる。
デュラントは、その感覚をずっと大切にしている。
「一瞬で決まる」NBAの世界で必要なこと
NBAは言わずと知れた世界最高のバスケットボールリーグ。プレッシャーの中で、1秒の隙もなく動き、ボールを受けて、シュートを放つ。そこに“考える余地”はない。
「ここでシュートを打っていいか?」
「ディフェンスが詰めてきてるけど、少しずれているから大丈夫か?」
「ジャンプの高さは十分か?」
そんな迷いがひとつでもあれば、シュートは遅れるし、ずれる。だからこそ、デュラントは「考えるな、体で覚えろ」と言う。
彼にとっての理想は「無意識に打って、リングに沈む」シュートだ。
そのために必要なのが、何も考えずとも正確なフォームで打てるように「反復すること」。
これはある意味、NBA選手の“条件”でもある。
ステフ・カリーも同じことを言っていた
実はこの“マッスルメモリー”の考え方は、他のシュート名人も口にしている。たとえばステフ・カリー。彼も毎日のように“同じフォームでのシュート”を繰り返し、シュート前のルーティンも決して変えない。
朝起きてから試合開始まで、何を食べ、どんな順番でストレッチし、何時にどの角度から何本打つかまで、すべてがルーティンだ。
それは「考える時間をなくす」ため。体にすべてを覚えさせ、どんな場面でも“自動で”最高のプレーをするため。
デュラントも同じく、自分の体にすべてを記憶させている。その差が、その場しのぎの“好調”と、年間通して続く“安定”を分けている。
バスケ少年たちへ伝えたいこと
このデュラントの言葉が、バスケ少年たちに何を教えてくれるか。
それは「天才になる方法は、思ったよりシンプルだ」ということ。
裏道はない。近道もない。あるのは毎日コツコツと打ち続けること。それだけだ。
「天才のシュートは才能の賜物だ」と思っているなら、それは大間違いだ。
彼らもまた、雨の日も風の日も、リングのある体育館でボールを打ち続けた。
ミスをすれば、なんども自分のフォームを見直し、指先の感覚を研ぎ澄ませた。
シュート1本の感覚を、手に、腕に、脚に、全身に染み込ませた。
それが、NBAという頂点への切符を手にした方法だった。
反復は地味だ。でも最強だ
反復練習は、はっきり言って地味だ。面白くもないし、成果が見えるまで時間がかかる。
だが、デュラントの言葉を信じてほしい。彼が「唯一にして最高のアドバイス」とまで言うのだから、それが彼にとってどれほどの意味を持っていたかは明白だ。
シュートがうまくなりたいなら、答えはひとつ。
「来る日も来る日も、体育館に行ってシュートを打ち続けること。」
リングに沈む感覚を味わうまで、そして体がその感覚を記憶するまで、やめないこと。
これ以上にシンプルで、力強いメッセージはない。
おわりに|
NBAで何年も得点王を取り、ファイナルMVPを2度獲得した男が、「唯一にして最高のアドバイス」と言ったのが「反復練習」だった。
華やかな舞台の裏にある、地道な努力。
それが「NBA屈指のスコアラー」が教えてくれた、最高のバスケットボール哲学だ。
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