NBAポスターコラム171:「バスケットボールプレーヤーとして、アスリートとして、チームメイトとして俺は人に受け入れてもらいたいと願っている。」byアレン・アイバーソン

NBAポスターコラム

171-チームUSA2004

アテネ五輪へ向かう“現代版ドリームチーム”の迷走と、背負わされたアレン・アイバーソン

■「ドリームチームの再構築」から始まった混乱

2002年、インディアナポリスで行われた世界選手権。
この大会でアメリカは「NBA選抜」という錚々たる顔ぶれを揃えながら、まさかの6位という屈辱的な終わり方をした。
記録されている練習の数字「58」で止まったという象徴的な事実が示すように、チームは内部から崩れ、連勝の神話はもろくも瓦解した。

それまで“国際大会は勝って当然”だったアメリカにとって、この敗北は衝撃だった。
アメリカ・バスケットボール協会はすぐに立て直し策に動き、「アテネで完全復活するための“現代版ドリームチーム”」の構築に着手する。

だが、この再構築は最初の一歩からつまずく。
招聘を狙ったフィル・ジャクソンが指揮官就任を断った瞬間、チームは明確な“軸”を失ったのだ。

■シャック不在、KG不参加、コービーもT-Macも辞退

アメリカは歴史的に“インサイドの強さ”が国際大会の勝ち方そのものだった。
シャキール・オニールほどその象徴にふさわしい存在はいない。だが、シャックは参加を辞退。
「シャックなしで最強チームを構築するのはほぼ不可能」――これは当時の共通認識に近かった。

続いて説得に向かったのはケビン・ガーネット。
当時すでにリーグ屈指の攻守万能ビッグマンで、KGが入るだけでチームの“骨格”が固まる。
しかし彼もNO。

さらに追い打ちをかけるように、コービー・ブライアント、トレイシー・マグレディといった“次世代の絶対的スーパースター”も辞退。
この時点で、ドリームチーム構想は“最高の素材を集める計画”ではなく、“参加してくれる選手を集める計画”に変質していく。

■ノビツキーとパウ・ガソルの「冷静な指摘」

国際大会はすでに時代が変わりつつあった。
スキルのあるビッグマンが世界各国に育ち、FIBAルールの細かな違いがアメリカの“個”を封じるケースも増えていた。

そんな中、ドイツのダーク・ノビツキーが語った言葉は鋭かった。
「アメリカが本当に勝つ気なら、シャック、ダンカン、KG…最強の内線を揃えなければ話にならない」

スペインのパウ・ガソルもこれに同意し、
「インサイドの核が欠けているアメリカなら、チームプレーを徹底する国が勝つ可能性は十分ある」
と指摘していた。

世界のスタープレーヤーたちは、すでにアメリカの“個頼み”に限界があることを見抜いていたのだ。

■キャプテン・アイバーソンという“象徴の選択”

結局、ヘッドコーチはフィルではなくラリー・ブラウンになり、
チームのキャプテンにはアレン・アイバーソンが据えられる。

ここでアメリカ代表の“イメージ”が大きく揺れた。
アイバーソンは才能に満ちたスーパースターだが、同時に“練習嫌い”“指導者への反抗的な態度”“メディアへの不協力”といったレッテルを貼られていた。
特に「プラクティス騒動」は、アイバーソンの人格そのものが歪曲されて語られ続けるきっかけでもあった。

ラリー・ブラウンの統率力には定評があるとはいえ、
“チームプレーを最優先する代表チーム”と“アイバーソンの個のプレー”がほんとうに噛み合うのか。
この疑念はアメリカ国内でもくすぶり続けていた。

■サム・スミスの痛烈すぎる批判

シカゴ・トリビューンの記者サム・スミスが書いたコラムは、まさにその象徴だ。

彼はアイバーソンの選出に強い疑問を呈し、こう断じた。
「プレーオフの大事な試合に遅刻し、練習に来ない、遅れる、コーチに反発し、チームを無視する。
メディア対応も非協力的だ。こんな男をアメリカ代表に選ぶなんて恥だ」

“アメリカ代表にふさわしくない”――これは国家の象徴を背負う選手への、最大級の侮辱に等しい。

だが、ここにはアメリカバスケ界が抱えていた“価値観の衝突”がはっきり表れている。
●才能と個の力で戦うNBAのスター像
●チームファーストを求めるFIBAルールと国際大会の空気

この両立が難しくなっていた時代だった。

■アテネが突きつけた“アメリカの現実”

スター不在。インサイドの核不在。FIBAルールへの適応不足。
そして、キャプテンに指名されたアイバーソンをめぐる国内の賛否――。

アテネ五輪に向かうアメリカ代表は、スタート時点から“理想のドリームチーム”とは程遠かった。
世界は明確に進化し、アメリカは“NBAスターの力で押し切る時代”から脱しきれずにいた。

そしてアテネ本大会で起きた現実は、まさにそのギャップを突きつけるものだった。
“アメリカが勝って当然”という幻想が完全に崩れた大会――。

その序章こそ、今回の代表選考の迷走だったと言える。

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