801-コービー&ガソル
孤高のエースがついに掴んだ“自分のリング”
―コービー・ブライアント、2008-09シーズン完全解剖―
2004年夏、レイカーズ王朝が崩壊した瞬間から、コービー・ブライアントの“真の闘い”は始まった。シャキール・オニールと3度の優勝を分かち合った男が、彼抜きでどこまでいけるのか。スーパースターの誇りと批判の間で揺れ動いた数年間を経て、2008-09シーズン。コービーはついに“自分のチーム”で頂点に立つ。これはその一部始終、そして背負ってきたものすべてを解き放った、コービーにとっての「本当の優勝」の物語。
シャックの影を超える旅のはじまり
2004年、レイカーズはNBAファイナルでピストンズに惨敗。オフにシャックがヒートへ、コービーが残留を選んだ時点で、全米の視線は「どっちが正しかったか」という勝負に移った。ヒートは2006年に優勝。シャックは「俺がいなきゃ優勝できないだろ」とばかりに笑った。一方コービーはというと、チームを引っ張りながらもプレーオフ1回戦敗退、味方が足りないとフロントを批判し、MVP級の数字を叩き出しながらも“勝てないエース”というレッテルを貼られていた。
2007年にパウ・ガソルを獲得してようやくチームは上昇気流に乗るが、2008年のファイナルでセルティックスにボコボコにされ、あと一歩届かず。悔しさを糧に迎えたのがこの2008-09シーズンだった。
圧倒的なスタートダッシュ
開幕20試合で17勝3敗。この時点で、昨シーズンの無念を晴らす覚悟が見えた。コービーは前年よりもさらに成熟していた。得点王に固執せず、必要な場面で爆発するスタイル。バスケットIQ、パスの判断、ディフェンスの集中力、すべてがピークに近づいていた。
加えて、チーム全体のケミストリーが格段に上がった。ガソルは2年目で完全にシステムに馴染み、オフェンスの潤滑油としても機能。インサイドの要アンドリュー・バイナムは怪我明けながらも存在感を放ち、トレバー・アリーザの運動量と守備も光った。ベテランのデレク・フィッシャーは精神的支柱としてチームを落ち着かせる。文句なしの布陣が完成していた。
コービー、MSGで61点
象徴的な一戦が2月のマディソン・スクエア・ガーデンだった。コービーはニックス相手に61点を叩き出し、あのジョーダンすら超えるMSGの最多得点記録を更新。試合後「MSGはバスケの聖地。だからこそ特別だった」と語ったが、その表情はどこか冷静だった。彼にとって、これは通過点。もはや得点で自分を証明するフェーズは終わっていた。勝つこと、それだけがすべてだった。
65勝の王者、プレーオフへ突入
レギュラーシーズンを65勝17敗で終えたレイカーズは、西の1位として堂々プレーオフへ。初戦の相手はジャズ。4勝1敗で快勝するが、続くロケッツとのシリーズは想定外の苦戦だった。ヤオ・ミンが倒れながらも執念で戦うヒューストンに3敗を喫し、最終戦までもつれ込む。だが最終的にはコービーの冷静なリーダーシップが勝利を呼び込んだ。
ウエスト決勝ではナゲッツとのハードなシリーズ。チャウンシー・ビラップス、カーメロ・アンソニーと手強い布陣だったが、コービーは平均34点近くを記録。フィッシャーのクラッチショットもあり、6戦で制した。
ファイナル:マジックとの初対決
NBAファイナルは、マジックとの史上初対戦。ドワイト・ハワードを中心にした堅守と3Pを武器に勝ち上がってきたマジックだが、経験値で大きく水をあけられていた。
レイカーズには、コービーとフィッシャーという3連覇の経験者がいる。一方マジックには、優勝経験者はわずか一人、しかも出場しないタロン・ルーのみ。シリーズは第2戦こそOTまでもつれたが、総じてレイカーズが支配。コービーは初戦から40得点とギアを上げ、平均32.4点でファイナルMVPを獲得。第5戦の勝利で、レイカーズは15度目の王座に輝いた。
解き放たれた魂
試合終了のブザーが鳴った瞬間、コービーは両手を天に突き上げ、叫びながらコートを駆けた。何度も何度も、拳を突き上げた。あの瞬間に込められていたのは「ようやく認められた」という思いと、「やっと報われた」という安堵だった。
これまでの3度の優勝では、MVPはすべてシャック。コービーは“2番手”という肩書きから逃れられなかった。でもこの優勝は違う。自分のチームで、自分が主役で、最後まで戦い抜いて手にしたタイトルだった。
コービーにとっての“本当の優勝”
コービーにとってこのシーズンは、“技術”だけじゃなく“精神”でも大きく成長した年だった。若い頃のように、全部自分でやろうとするんじゃなく、チーム全体を活かし、必要な時に自分が締める。だからこそ、チーム全体が機能した。だからこそ、4勝1敗で圧勝できた。
MVP、優勝、ファイナルMVP。この三拍子が揃ったことで、彼のキャリアにひとつの確信が加わった。「俺はシャックがいなくても勝てる」。そしてそれを誰にも否定させなかった。
終わりに
コービー・ブライアントがこの優勝で手にしたのは、単なる“4つ目のリング”ではない。長年の葛藤、悔しさ、誤解、評価をすべてねじ伏せた“証明のリング”だった。
この2008-09シーズンは、キャリアの中で最も意味のある1年だったと言っていい。スコアラーとしての完成度、リーダーとしての成長、そして人間としての成熟。それがすべて詰まった、この年のコービーは間違いなく“NBA史上最も孤高で、最も偉大なチャンピオンのひとり”だった。
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