29-レブロン・ジェームズ
5人のMJ、5人のコービー、5人のレブロン
NBA最強論争に“究極の仮説”を持ち込んでみた
どのスポーツにも存在する“選手比較論争”。特にNBA界隈では、「マイケル・ジョーダンvsレブロン・ジェームズ」はもはや宗教戦争レベルの論点になってるし、そこに“孤高の職人”コービー・ブライアントを加えると、議論はさらに複雑になる。でも、ある視点を持ち込むことで、この論争に“割とシンプルな”答えが出てくる可能性がある。
それが、「同じ選手を5人コートに出したらどうなるか?」という仮説だ。つまり、“5人のジョーダン”、“5人のコービー”、“5人のレブロン”。このルールで戦ったら、誰が最強か?能力、相性、IQ、サイズ、全てをひっくるめた「トータルパッケージ」としての評価が問われる。
5人のマイケル・ジョーダン:狂気の支配力
まずはバスケの神様、マイケル・ジョーダン。彼の何がすごいって、得点力、勝負強さ、ディフェンス、カリスマ、すべてが最高水準でまとまっているところ。ピュアスコアラーでありながら、9回もオールディフェンシブ1stチームに選ばれ、MVP×5、ファイナルMVP×6、得点王×10。これだけの勲章を持つ選手は他にいない。
でも「5人のMJ」には限界もある
とはいえ、全員が“得点に飢えた狼”タイプなので、ボールシェアやプレーメイキングに少し不安がある。たとえば、センター的な役割を果たすジョーダンは想像しづらいし、ディフェンスリバウンドを安定して取れるサイズではない。ボールを持たないジョーダンがスペーシングに徹するか?いや、それは彼の性質に反する。
さらに、チーム全体の“頭脳”としての調和もやや疑問だ。ジョーダンはIQが高いが、それ以上に“自分がやる”というエゴが強い。5人が全員それだと、奪い合いになる可能性もゼロじゃない。
5人のコービー・ブライアント:孤高の求道者集団
個人的に、1on1で歴代最強だと思っているのがこの男、コービー・ブライアント。フットワーク、ミッドレンジ、フィニッシュ、ハンドリング、全てが芸術レベル。そして何より、精神面での“殺し屋気質”がすごい。
5人のコービーは、もはや宗教的チームになる
コービーはMJのコピーと言われることが多いが、彼の方がトリッキーで、より“練習の鬼”だった。つまり、コート上に5人のコービーがいた場合、全員が狂ったように勝利を追い求め、誰も休まない。たとえそれが練習でも試合でも。
でも、この“狂気の同調”が裏目に出ることもある。5人とも「自分が打つ」と思っていたら、シンプルに試合が回らないし、パスもほとんど出ない可能性がある。プレーメイカーとしての視点は、レブロンと比較すると数段落ちるのは事実。
5人のレブロン・ジェームズ:最強のバスケAI集団
この仮説において、最も有利なのがレブロン・ジェームズだ。なぜなら、レブロンは“どのポジションでもプレイできる”万能型プレイヤーだからだ。PGとしてゲームを組み立て、SGとして得点を狙い、SFとしてディフェンスし、PF/Cとしてインサイドを制圧する。しかも、それをIQと身体能力の両面で実現できる。
全員がレブロンなら、誰もが司令塔であり、フィニッシャー
5人のレブロンは、恐ろしいバランスを持つ。1人がボールを運び、2人がスクリーンをかけ、1人がハイポストでパスを待ち、1人がコーナーで待機。こんなレイアウトが一瞬で作れる。なぜなら全員が視野広く、利他的で、しかもサイズもあるからだ。
さらに、レブロンは自己主張よりも「チームとして正しい選択」をするタイプ。全員がそのマインドで動くと、コート上は“レブロンの頭脳によるシミュレーション空間”になる。もはやAI軍団のような存在だ。
ディフェンスの視点:誰が一番スイッチ可能か?
この仮説において、重要なのが「ディフェンスのスイッチ能力」。要するに、誰が誰を守るのか。5人のレブロンは、相手が1番から5番までどんな構成でも問題ない。6フィート9インチ、250ポンドの体格で俊敏に動けるわけだから、スモールラインナップにもビッグラインナップにも対応できる。
一方、MJとコービーはどちらもサイズ的に限界がある。2番~3番ポジションには強いが、4番・5番ポジションとのマッチアップでは押し負ける可能性が高い。特にリバウンドやペイント内のポストディフェンスで差が出る。
結論:「5人の同一選手」で戦うならレブロンが最強
このシミュレーションにおいて、最も完成されたチームになるのは間違いなく“5人のレブロン”。なぜなら、彼は「バスケという競技そのもの」を理解していて、それを全ポジションで再現できる能力を持っているからだ。
MJもコービーも、個の能力では歴史上トップクラス。だが、「全員が自分」だった場合に、その能力が最大化されるかというと、やや疑問が残る。むしろそれぞれのチームには、ロールプレイヤー的存在が必要なのに、5人が主役だと逆にバランスを崩す。
レブロンのチームだけが、その“主役性”を抑えつつ、状況に応じて「ロールプレイヤーに徹するレブロン」も「支配するレブロン」も生まれる。その柔軟性が決定的な差になる。
追伸:それでも1on1ならコービーに賭けたい
ここまでチーム視点で論じてきたが、個の1on1なら話は別。コービー・ブライアントの1on1能力は、もはや芸術だ。駆け引き、リズム、間合い、すべてが完璧。身体能力だけじゃなく、“どうやって相手を倒すか”という戦術レベルのマインドが異次元。しかも、プレッシャーを好むメンタルの強さもある。
1対1で“1本勝負”なら、歴代でも最強はコービーかもしれない。それは、彼のキャリアと生き様を知る人なら、誰も否定できないはずだ。
おわりに:比較は無意味? いや、だからこそ面白い
選手の比較は、意味がないと言われることも多い。でも実際には、こうやって仮説を立てて深掘りしていくことで、選手の本質が見えてくる。誰が上、誰が下じゃない。どんなタイプの選手が、どんな条件下で最も輝くのか。それが、バスケの奥深さであり、NBAという最高の舞台の魅力でもある。
だからこそ言いたい。“5人のレブロン”が最強だと考える一方で、“1人のコービー”や“1人のMJ”がもたらす美しさや強さも、絶対に忘れちゃいけない。
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