769-コービー・ブライアント
2000年 ウエスト決勝の死闘：レイカーズ対ブレイザーズ
時代の転換点となった1999-00シーズン
1999-00シーズンは、NBAの歴史の中でも大きな転換点となったシーズンだった。90年代を支配したシカゴ・ブルズの王朝は崩壊し、リーグは新たなスターの時代へと突入していた。その象徴が、ロサンゼルス・レイカーズのシャキール・オニールとコービー・ブライアントのデュオだ。
このシーズン、シャックはリーグを支配する圧倒的なパフォーマンスを披露し、キャリア初のシーズンMVPを獲得。平均29.7得点、13.6リバウンド、3.8アシスト、3.0ブロックと、まさにモンスター級のスタッツを記録した。
一方、コービーもキャリア4年目で大きく成長を遂げた。平均22.5得点、6.3リバウンド、4.9アシストとオールラウンドな活躍を見せ、オールスターはもちろん、オールディフェンシブ1stチームに選出。シャックとコービーの二枚看板が機能したレイカーズは、19連勝を含む67勝を記録し、リーグ最高の戦績でプレーオフへと進んだ。
事実上のNBAファイナル ウエスタン・カンファレンス決勝
プレーオフでは、ウエストの覇権を争う戦いとして、レイカーズとポートランド・トレイルブレイザーズの対決が実現。ブレイザーズも当時は強豪で、ラシード・ウォレス、スコッティ・ピッペン、デイモン・スタウダマイアー、スティーブ・スミス、アルヴィダス・サボニスらが揃い、戦力的にレイカーズと互角以上だった。
このシリーズは、その前評判通り激戦となり、第7戦までもつれ込んだ。そしてこの最終戦こそ、NBA史に残る伝説的な試合となった。
第7戦：地獄からの大逆転
2000年6月4日、ステイプルズ・センターで行われたウエスタン・カンファレンス決勝第7戦。この試合の第4クォーター、残り10分28秒の時点でスコアは75-60。ブレイザーズが15点のリードを奪い、勝負は決まったかに思われた。
だが、ここからレイカーズが驚異的な反撃を開始する。ブレイザーズは13本連続でシュートを外し、完全に失速。一方のレイカーズは、シャックとコービーを中心に徐々に点差を縮めていった。
残り2分でついに79-77と逆転。そして試合の流れを決定づけたのが、NBA史上屈指の名場面として語り継がれるプレーだった。
コービーからシャックへの伝説のアリウープ
試合時間が残り1分を切った場面、レイカーズのオフェンス。コービーがトップからドリブルで切り込み、ゴール下へと侵入する。そして、ディフェンスが収縮した瞬間、ふわりとした絶妙なアリウープパスを送る。
このパスを受けたシャックが豪快なダンクを叩き込み、レイカーズの勝利を決定づけた。この瞬間、ステイプルズ・センターは爆発的な歓声に包まれた。
このプレーは、単なる1本の得点ではなく、シャックとコービーという新時代のスターがリーグを支配することを象徴する一幕だった。
NBAファイナル：ペイサーズを下し王座へ
ウエスタン・カンファレンスを制したレイカーズは、ファイナルでインディアナ・ペイサーズと対戦。ペイサーズには、リーグ屈指のシューターであるレジー・ミラーが率いるベテランチームだったが、レイカーズの勢いを止めるには至らなかった。
ファイナル第4戦、試合終盤でシャックがファウルアウトするアクシデントが発生。ここでチームを救ったのがコービーだった。オーバータイムで冷静なプレーを続け、勝利をたぐり寄せた。
シリーズは4勝2敗でレイカーズが制し、シャック&コービーのコンビは初のチャンピオンリングを獲得。この瞬間、NBAは新たな時代へと突入した。
2000年プレーオフが残したもの
このシーズンのレイカーズの優勝、そしてブレイザーズとの死闘は、NBAの歴史において大きな意味を持つものだった。
- シャックはシーズンMVP、ファイナルMVPを獲得し、キャリアのピークを迎えた。
- コービーは21歳ながらもチームの中心選手として機能し、将来のスーパースターへの道を歩み始めた。
- レイカーズはこの年を皮切りに、3連覇を達成する黄金時代を築くことになる。
特に、コービーからシャックへのアリウープは、2000年代のNBAを象徴するプレーの一つとして、今も語り継がれている。
この試合があったからこそ、シャックとコービーの時代が本格的に始まり、NBAの新たな歴史が刻まれたのだ。
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