178-デリック・ローズ
デリック・ローズという “爆発的アスリート” の本質
――191cmのボースハンド・ダンクが示す異常値
デリック・ローズのハイライトを見返すたびに思うのは、「この選手、サイズの概念を破壊していたよな」ということだ。191cmという、NBAの中では決して大柄ではない身長。しかし、その身体能力は常識の枠から飛び抜けていた。
彼のジャンプは“跳ぶ”ではなく“浮く”に近い。ストレートラインからゴールへ突き刺さるように飛び込む時、相手ビッグマンの肩口あたりまで上体が並ぶことすらあった。その象徴が、ローズのシグネチャームーブでもあるボースハンド・ダンクだ。
両手で叩き込むということは、片手よりも高さが必要になる。片手であればギリギリ届く場面でも、両手ダンクはゴールに対してより厳しい角度が要求される。にもかかわらず、ローズは軽々とそれを成功させる。しかもハーフコートで1対1を仕掛ける状況だけでなく、ペイントにドライブする流れからごく自然に両手を添えて叩き込む。
あれを191cmの選手が“当たり前のように”やるから意味がある。
■ ボディコンタクトの後でも決め切れる“強さ”
ローズのドライブは瞬発力だけでは成立しない。
彼は体をぶつけられてもフィニッシュの精度を落とさないという強みを持っていた。
ペイントエリアに侵入した瞬間、ローズは加速と減速の切り替えを一瞬で行いながら、空中での姿勢制御を完璧にしてしまう。接触があっても体勢はほとんどブレず、空中での“遊び”の余白が極端に多い。だからこそ、ディフェンスの腕を躱したり、あえて体をぶつけてからバンクを使ったりと、選択肢の幅が広かった。
実際、当時のローズのリム近辺の決定力はガードとしては破格で、「突っ込んでいるようで実は計算されてる」という、非常にレアなタイプだった。
■ 時折見せる“リバース・バンク”の美しさ
ローズのハイライトで地味に印象に残っているのがリバース・バンクショットだ。
リングの裏側に潜り込み、バックボードを使って柔らかく決めるあのショット。
ローズは豪快なダンクばかりに目が行きがちだけど、細かいフィニッシュの技術もめちゃくちゃ高かった。特にリバースは、空中での滞空時間が長いからこそ、ボールを持つ“余裕”が生まれる。あれができるのは、単純な跳躍力だけじゃなく空中での姿勢制御能力が異常に高い証拠でもあった。
華麗なのに強烈。ローズという選手を象徴するショットのひとつだ。
■ 驚異の“瞬発力データ”が示すローズの正体
ローズの身体能力はハイライト映像だけでは語り尽くせない。
ドラフト前の体力測定データを見ても、その異常なスペックがはっきりわかる。
● コート3/4走(3.05秒)
3/4コートダッシュは、いわゆる“加速力”と“トップスピード”を測る代表的な指標。このタイムはガードとしてもエリート中のエリートだ。
比較対象としてよく出されるのがジョン・ウォール。ウォールはこのテストで3.14秒。これも十分に化け物だが、ローズはそこを0.09秒上回っている。
数字だけ見ると小さく感じるが、短距離測定における0.09秒は“別の次元”と言ってもいい差だ。
ローズはストップ&ゴーの鋭さだけでなく、走り出した瞬間にトップスピードへ一気に持っていけるタイプだった。
● レーンアジリティ(11.69秒)
レーンアジリティは“前後・左右の動きの敏捷性”を測るテスト。
ここで重要なのは、ジョン・ウォールのタイムが 10.84秒 だったこと。
ローズのほうが3/4走では速いが、敏捷性ではウォールが圧倒していたという点だ。
これは2人のタイプの差を如実に示してる。
- ローズ:直線的な爆発力と加速力の怪物
- ウォール:左右の揺さぶり、切り返しの速さに長けたアジリティ特化型
つまりローズのあの破壊的なドライブは、敏捷性だけで生まれていたわけじゃない。
“縦にぶち抜くための加速力”が異常に高かったからこそ成立していた。
■ スペックの異常値が、スタイルを決定づけた
ローズの全盛期を思い返せば思い返すほど、彼のプレースタイルは身体能力をフル活用した“縦突破”のアートだった。
- 3.05秒の3/4走で相手を置き去りにする
- 空中で姿勢を崩さず、両手ダンクまで持っていく
- リバースで美しく逃がす柔らかさもある
- ぶつかられてもフィニッシュの確率が落ちない
これら全部がセットになっていたからこそ、2010年代前半のローズはリーグを代表するポイントガードになれた。
191cmでありながら、体格差というハンデを一切感じさせなかった理由がここにある。
■ “爆発力”と“しなやかさ”を併せ持つ異質な存在
ローズはただ速いだけの選手ではなかったし、ただ跳ぶだけの選手でもなかった。
爆発力としなやかさの両立という、ガードとしては極めて稀なバランスを実現していた。
だからこそ、彼の一歩目は異常に速いのに、空中では驚くほど柔らかい。
そして両手で叩き込むダンクの破壊力。
リバースの流れるような美しさ。
ボディコンタクトを受けてもねじ込むフィニッシュの強さ。
どれをとっても、ローズは“身体能力だけの選手”という安易な枠には収まらない。
■ 結局、ローズは“規格外”だった
ドラフト前の数値も、実際のプレーも、すべてが規格外だった。
3.05秒、11.69秒、そして191cmでのボースハンド・ダンク。
数字とプレーが完全に一致する稀有な選手。
ローズはまさにその象徴だった。
怪我がなければ――
その“もしも”を語るには、あまりにも魅力が大きすぎる存在だった。
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