3-カイリー・アービング
カイリー・アービング──ハンドリングの魔術師、その全貌
NBAには数多くの優れたボールハンドラーが存在してきた。アレン・アイバーソン、ティム・ハーダウェイ、ジェイソン・ウィリアムズ、クリス・ポール──しかし、1on1でディフェンダーを完全に置き去りにし、観客の息をのませるプレイを見せられるのはカイリー・アービングしかいない。彼のハンドリングには、単なる技術を超えた「芸術性」がある。この記事では、そのハンドリングの速さ、緻密さ、スタイルの3つの要素を軸に、カイリーのプレイを深掘りしていく。
カイリーが「仕掛ける」理由──1on1の自信と哲学
カイリー・アービングの1on1はただの技術披露じゃない。彼は試合中、相手との距離がわずかにできた瞬間に仕掛けてくる。なぜなら、自分のドリブルとスキルに絶対的な自信があるからだ。若手時代、レイカーズのレジェンド、コービー・ブライアントに真っ向勝負を挑んだことは有名なエピソード。あのときから、彼のバスケに対する哲学がにじみ出ていた。
「俺のスキルでお前を倒す」──それがカイリーの1on1に込められたメッセージだ。
驚異的な「速さ」──誰も反応できないハンドスピード
カイリーのハンドリングの中核をなすのが、信じられないほどの「速さ」だ。彼のドリブルは、単に速く動かしているだけじゃない。ボールが彼の手から離れる時間が極端に短い。つまり、手のひらから手のひらへ、指先から指先へ、極めて短い軌道でボールを扱っている。これにより、ディフェンダーはどこにボールがあるのか、次の動きがどこへ向かうのかを読み取る時間すらない。
狭いスペースでのドリブル──これはカイリーの真骨頂。ピック&ロール後のスプリット、3人に囲まれてのボール維持、ヘルプが来る直前のスピン──こういったプレイで彼の速さは最大限に生きる。まるで、彼の手とボールが1つの生き物のように連動している。
緻密すぎる「コントロール」──ボールは指先の延長線
スキルの速さだけでは、トップレベルでは通用しない。カイリーの真の武器は「緻密なコントロール」にある。彼のボールタッチは非常にソフトで、それでいて正確。ドリブル中、体のバランスが崩れそうになっても、ボールだけはブレない。あらゆる方向に体を傾けながらも、ボールはまるでマグネットで吸い付いているかのように彼の掌に収まっている。
特筆すべきは、彼が使う体の部位。手だけじゃなく、肩、腰、膝、足首──すべての部位を駆使してドリブルの角度とタイミングを調整する。この緻密な調整力が、あの変幻自在なムーブを可能にしている。
例えば、クロスオーバー一つ取っても、彼のステップの幅やタイミングは相手によって毎回異なる。フロアを読む目、空間を支配する感覚、相手の重心を見抜く判断力──すべてが完璧にかみ合っているからこそ、あの緻密なボールハンドリングが成り立つ。
美しき「スタイル」──見る者を魅了するムーブ
NBAのファンにとって、カイリー・アービングのプレイを見ることは芸術鑑賞に近い。なぜなら、彼のハンドリングにはスタイルがある。派手すぎず、効率的でありながら、どこか美しい。アンダードッグが強者を打ち負かすような、痛快でダイナミックな魅力を秘めている。
彼のムーブにはリズムがある。まるでダンスを踊っているようなステップ、流れるようなモーション、急停止からの急加速──観客を魅了するだけじゃない、相手ディフェンダーを一瞬で置き去りにする。
それはヒップホップに合わせたストリートのバスケのようであり、同時にクラシック音楽のような整然とした美しさもある。決して無駄な動きはせず、常に「目的のあるドリブル」をしている。これが、ただの“巧い選手”と“魅せる選手”の違いだ。
技術の集大成──状況に応じたショットセレクション
カイリーのハンドリングは、得点に直結している。ドリブルからフローター、ターンアラウンド、ステップバック、3ポイントまで一連の流れがスムーズすぎる。これは、彼がどの角度からでもフィニッシュできるスキルを持っているからこそだ。
1on1で勝負を仕掛けたあと、彼は一瞬で状況判断を行い、最も効率的な手段で得点を狙う。ヘジテーションで相手を浮かせてからのレイアップ、リバースレイアップ、フェイクからのフェイダウェイ──どれもが「ドリブル→シュート」の一連の作品になっている。
スタッツに裏付けられた「効率の鬼」
身長188cmというサイズは、NBAの中では決して大きくない。むしろ、フィジカル的なハンデとも言える。しかし、そんな彼が驚異的なFG%を記録している。2020-21シーズン、彼は50-40-90クラブ入りを果たした。これは、FG50%、3P40%、FT90%を同一シーズンでクリアする“エリート中のエリート”だけが到達できるゾーン。
50-40-90を達成したNBA選手はわずか9人。ラリー・バード、スティーブ・ナッシュ、ケビン・デュラントなど超一流の中に名を連ねている。ドリブルで揺さぶりながら、正確なシュートを打ち続けられる。まさに、効率と美学を両立させた存在だ。
カイリーのハンドリングがもたらすもの
カイリーのドリブルは、単なる武器じゃない。彼のメンタリティを象徴するものでもある。観客を驚かせ、仲間を鼓舞し、敵を絶望させる。それだけのインパクトを、彼のボールハンドリングは持っている。
彼のハンドリングには、プレイヤーとしての信念が詰まっている。孤高のスコアラーでありながら、アーティストでもある彼のプレイは、NBAにおける“美しさ”の一つの到達点だ。
終わりに──カイリー・アービングは“現代の魔術師”だ
どれだけ分析しても、カイリー・アービングのドリブルには言葉では表現しきれない“魔力”がある。それは動画を見た瞬間、誰もが感じるはずのインスピレーション。ボールハンドラーとしての速さ、緻密さ、スタイルをすべて兼ね備え、なおかつ得点にも直結させるそのスキルセット。
1on1で仕掛けるときのあの静かな気迫、観客の声を一瞬で奪う美技、そしてスコアボードに刻まれる得点。それらすべてが、カイリーのハンドリングを語るうえで欠かせない。
間違いなく言えるのは──NBAにおいて、最も“美しい”ハンドリングを持つ選手。それがカイリー・アービングだ。
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