802-ヤニス・アデトクンボ
怪物ヤニス・アデトクンボ──“支配”を超えた“蹂躙”の男
シャックが“支配”なら、ヤニスは“蹂躙”
NBAの歴史を振り返ると、ペイントエリアを完全に支配したビッグマンは数多くいた。ウィルト・チェンバレン、カリーム・アブドゥル=ジャバー、そしてシャキール・オニール。中でもシャックのインサイドでの破壊力は「支配」という言葉がぴったりだった。
だが、現代のNBAで“支配”を超えて“蹂躙”という言葉を体現しているのが、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボだ。ギリシャの“グリーク・フリーク”は、その驚異的な身体能力を生かし、相手ディフェンスを力任せに突破し、まるでブルドーザーのようにリングへと突進していく。
ペリメーターからドリブルで一気にペイントを制圧する。相手のビッグマンが立ちはだかろうが、関係ない。ユーロステップ、スピンムーブ、そしてトマホークダンク──どんな手を使ってでも、ゴール下をねじ伏せてしまう。
「コースト・トゥ・コースト」はヤニスの十八番
リバウンドを拾った瞬間、ヤニスはスイッチが入ったようにギアを上げる。まるでPGのように自らボールをプッシュし、4、5歩でコートを駆け抜ける。気づけば3ポイントラインを超え、あっという間にダンクでフィニッシュ。これが“コースト・トゥ・コースト”の完成形だ。
このプレーを止められる選手はほとんどいない。1on1で対応すればパワーで弾き飛ばされ、ヘルプに回ればキックアウトされて3ポイントを食らう。どちらを選んでも“詰み”だ。まさに現代バスケにおける「ゾーンブレイカー」としての役割を果たしている。
筋肉の鎧をまとった“引力”の正体
ヤニスの体格はNBAの中でも異質だ。211cm・110kgというサイズに、ウイングスパン221cm、垂直跳びは90cmを超えるとも言われる。まさに「人間離れしたスペック」を持ち、フィジカルだけで勝負できてしまう。
この肉体が引き起こす“引力”は絶大で、相手チームは常に彼をダブルチーム、時にはトリプルチームで囲い込む。だが、それすらもヤニスにとってはアドバンテージだ。味方のシューターたちが、空いたスペースでオープンスリーを狙える。
つまり、彼のドライブはフィニッシュだけでなく、“スペースクリエイター”としても機能している。
レジェンドへの階段──実績はすでに“殿堂級”
ヤニスはすでにNBAで数々の勲章を手にしている。
- MVP(最優秀選手):2回(2019、2020)
- DPOY(最優秀守備選手):1回(2020)
- NBAチャンピオン:1回(2021)
- ファイナルMVP:1回(2021)
- オールNBAチーム常連
- オールディフェンシブチーム常連
キャリアのピークで、攻守両面においてリーグをリードする選手は多くない。その点でヤニスは、ジョーダンやオラジュワン、ダンカン、コービーらと肩を並べる数少ない存在だ。いわば、「攻防でMVPクラス」の男なのだ。
だが、本人が求めるのはもっと高み。彼のコメントからも「もっと勝ちたい」「もっと優勝したい」という意志が見える。数字や個人賞ではなく、リングの数──それがヤニスにとっての“真の価値”なのだ。
問題は“アスレチック頼み”の寿命
しかし、ここで一つの懸念が生まれる。それは「身体能力が落ちたときにどうなるのか?」という点だ。
ヤニスのプレースタイルは、ある意味“爆発力一本勝負”ともいえる。跳躍力、加速力、フィジカルの強さ。これらが衰えたときに、プレースタイルの見直しを迫られるのは間違いない。いわゆる「モデルチェンジ」が必要になる。
コービーはミッドレンジとポストプレーに磨きをかけ、レブロンはバスケットIQとジャンパーで進化した。果たしてヤニスは、どうやって“その時”に備えるのか。スキルセットの幅を広げられるかどうかが、キャリア後半の命運を分ける。
進化の鍵は“シュートレンジの拡張”
現時点でヤニスに足りないのは、やはり「シュート力」。ミッドレンジの安定感、フリースローの成功率、そして3ポイント。いずれもリーグ平均には遠く及ばない。
実際、相手チームは“放して守る”ことでヤニスのペネトレイトを封じようとする。これを崩すには、やはり外からの脅威を見せる必要がある。もし彼が、ヤニスなりの“ジャンパー”を習得すれば、ディフェンスは完全に手詰まりになる。
レブロンも30歳を過ぎてから3P成功率を大きく伸ばした。ヤニスにもそれは十分に可能な進化だ。彼のワークエシック(練習量と意志の強さ)はリーグでもトップクラスだからこそ、ここからの“アップグレード”にも期待できる。
未来に向けて──キャリア後半戦のシナリオ
もしヤニスが今後も高いレベルで5年、10年と戦い続ければ、歴代トップ10に入るレジェンドになることは確実だ。リングの数、通算スタッツ、インパクト。すべての面でレガシーを残せる男だ。
だが、それにはバックスというチームの戦略も重要になる。優勝できるロスターを維持し、ヤニスの負担を減らせるようなチーム設計が求められる。今のように毎年フル稼働していては、ケガのリスクも高まる。
キャリア終盤での“節約運用”ができるかどうか。スパーズ時代のダンカンのように、出場時間や役割をコントロールしながら価値を保つ道も考えなければならない。
“蹂躙”のその先へ
ヤニス・アデトクンボは、ただのスーパースターではない。“圧倒的な身体能力”と“狂気じみたハードワーク”を融合させた、21世紀最高峰のアスリートだ。
彼がこの先、どんな進化を遂げ、どんなレガシーを残すのか──それはまだ誰にもわからない。だが確かなのは、彼がすでに“伝説への扉”をこじ開けているということ。
“支配”では足りない。“蹂躙”という言葉すら、生ぬるいと思わせるほどの存在になれるか。ヤニスの挑戦は、まだまだ終わらない。
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