756-マイケル・ジョーダン
ジョーダンの“最後の一撃” 1998年NBAファイナル第6戦
ピッペンの負傷とジョーダンの重責
1998年6月14日、NBAファイナル第6戦。シカゴ・ブルズ対ユタ・ジャズの激闘が繰り広げられたこの試合は、マイケル・ジョーダンのキャリアを象徴する瞬間の一つとして語り継がれることになる。ブルズは3勝2敗と王手をかけていたが、決して楽な状況ではなかった。特に試合序盤で起こったスコッティ・ピッペンの負傷は、チームに大きな打撃を与えた。
ピッペンは腰痛を抱えながら試合に臨んだが、状態は最悪だった。第2クォーターにはロッカールームへ戻り治療を受けるほどで、最終的に26分間の出場にとどまった。明らかに動きは鈍く、エースのジョーダンにかかる負担は増す一方だった。ボール運び、ゲームメイク、そして得点——35歳のジョーダンに求められる役割は膨大だった。
デルタ・センターのプレッシャー
試合が行われたのは、ジャズの本拠地デルタ・センター。ここでのジャズは驚異的な強さを誇り、地元ファンの熱狂的な声援が敵チームにプレッシャーを与えることで有名だった。ブルズにとって、ここで勝ち切ることがシリーズ制覇の絶対条件だった。
試合は序盤から接戦が続き、まさに一進一退の攻防。第4クォーター終盤、スコアは83-83と膠着状態に陥る。そして残り41.9秒、ジョン・ストックトンが放った3ポイントシュートがネットを揺らし、ジャズが86-83とリードを奪う。この瞬間、ブルズにとってはまさに崖っぷちだった。
ジョーダン、勝負の連続ギャンブル
ここでジョーダンが動く。次のブルズの攻撃で、右サイドから得意のドライブを仕掛けると、タフなディフェンスを受けながらもレイアップをねじ込んだ。スコアは85-86、残り時間はわずか20秒あまり。
ジャズの次の攻撃。カール・マローンがローポストでボールを受けた瞬間、ジョーダンは迷わずギャンブルに出る。通常なら自分のマークマンであるジェフ・ホーナセックに付いているべき場面だったが、それを捨ててマローンの背後に回り込む。そして素早い手の動きでマローンからクリーンなスティールを成功させた。
“最後の一撃”
ジョーダンはすぐにボールを持ち上げ、前を見た。残り時間18.5秒。ここでタイムアウトを取る選択肢もあったが、ジャズのディフェンスがセットする時間を与えたくなかったため、そのまま自ら勝負に出る。「残り時間が18.5秒であることは確認した。だがタイムアウトはジャズにディフェンスのセットアップの時間を与えてしまうと思い、とらなかった」。
トップ・オブ・ザ・キーでブライアン・ラッセルと対峙したジョーダンは、じっくりと時間を使いながらドリブルを続ける。そして一瞬、身体を前傾させてドライブのフェイントを仕掛けると、ラッセルはそれに反応して大きくバランスを崩した。ジョーダンはすかさずクロスオーバーを繰り出し、完全にフリーな状態を作り出す。
そして、ゆっくりと跳び上がり、スムーズなフォームでジャンプショットを放つ。ボールは美しい軌道を描き、静かにネットへ吸い込まれた。残り時間は5.2秒。スコアは87-86。ブルズが逆転に成功した。
6度目の優勝とジョーダンの伝説
残り時間5.2秒、ジャズは最後の攻撃に賭けた。ストックトンが3ポイントを放つが、リングに弾かれる。試合終了のブザーが鳴り響いた瞬間、ブルズの選手たちは歓喜に包まれた。ジョーダンは第4クォーターだけで15得点を挙げ、ゲームの流れを完全に支配していた。
この一撃によって、ジョーダンは6度目のNBAチャンピオンに輝き、ブルズは2度目のスリーピート(3連覇)を達成した。そして、このジャンプショットこそが「ラストショット」としてNBA史に刻まれた。
“勝負勘”が生んだ伝説
ジョーダンのプレーは、単なる技術の高さだけではなく、圧倒的な勝負勘に支えられていた。背後から忍び寄りマローンへのスティール、残り18.5秒でタイムアウトを取らなかった決断、そしてラッセルを翻弄するクロスオーバーからのジャンプショット。どのプレーも、冷静な判断と直感的な勝負師の本能が生み出したものだった。
この試合が、ジョーダンにとってシカゴ・ブルズのユニフォームを着ての最後のNBAファイナルとなった。そしてこの“最後の一撃”が、彼のキャリアを象徴する一瞬として、今も語り継がれている。
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