NBAポスターコラム712:身体能力だけじゃない、ジョーダンが手に入れた新たな武器とは…。

NBAポスターコラム
712-マイケル・ジョーダン

712-マイケル・ジョーダン

ジョーダンの進化:ミッドポストプレーヤーへの転身

マイケル・ジョーダンはNBA史上最も偉大な選手とされ、多くの人々が圧倒的な身体能力とスキルを称賛している。その重要な転換点となったのが、中に鋭く切り込んでいくスタイルから、ミッドポストプレーヤーへと変わっていった1990年頃のことだ。

初期のプレースタイル:切れ味鋭いドライブ

ジョーダンのキャリア初期、彼はメインにペリメーターから鋭くドライブし、相手ディフェンダーを置き去りにするスタイルで名を馳せていた。レイアップやダンクで得点を重ねていくプレーは、1980年代後半のジョーダンの代名詞だった。

彼のハイライトには、相手ディフェンスを引き裂くかのようにゴール下へ切り込むシーンが残っている。しかし、バスケットボールIQが高い彼は、やがて自分のプレースタイルに制限をかけ、新たな武器の習得へと向かわせた。

1990年代初頭の転換期:ミッドポストでのプレー

ミッドポストでのプレーは、ジョーダンにとっていくつかのフォーマルなメリットをもたらした。 まず、彼はここでボールを受け、振り向きざまにシュートを打つことができた。ディフェンスが対応しようにもジョーダンのような俊敏で全身バネ、かつ後ろに飛ばれてはディフェンスはほぼ無力だった。

また、ミッドポストからゴール下にドライブも容易に行うことができた。

ミスマッチの活用:サイズとスピードの優位性

ジョーダンがミッドポストプレーヤーに移行した最大の副産物が『ミスマッチの創造』だ。ミッドポストでボールを受け止めると、相手ディフェンスに必然的にミスマッチが生じる。サイズやスピードの違いを利用されると相手ディフェンスは対応できない。

もし相手チームがジョーダンに対してより小さなガードをつけた場合、彼はその場でステップバックしてジャンプショットを放ち、簡単に得点決める。サイズがある選手がディフェンスにつくと、彼はそのスピードと機動力で相手を抜き、ゴール下へドライブして得点を重ねた。

ジョーダンのミッドポストでのプレーは、身体能力に秀でたアスリートとしての側面だけでなく、知性を強調する要素でもあった。このエリアでのプレーは、彼が「自分のスピードとパワーとサイズをどのように効率的に使えるか」を深く理解していることを証明した。

フェイダウェイジャンプショット:アンストッパブルな武器

ジョーダンのミッドポストでのプレーにおける一つの象徴的な技術が、彼の「フェイダウェイジャンプショット」だ。ジョーダンのフェイダウェイは、ほとんどアンストッパブルな武器として知られ、彼のキャリア後半においては非常に効果的だった。

ジョーダンは完璧なタイミングと高度なバランス感覚を持ち、このショットを繰り出し、相手ディフェンダーを翻弄した。ミッドポストでボールを受け取ると、すぐにフェイダウェイに移行したり、身体で押し込んでからのフェイダウェイ、あるいは背を向けたままショルダーフェイクだけでディフェンスの逆をとることも少なくなかった。

ジョーダンに自分のタイミングで飛ばれてしまってはなす術がないのだ。

このショットは、相手ディフェンダーにとってはほぼ悪夢のようで、特にプレーオフの重要な場面でその破壊力を発揮した。 ジョーダンが何度もこのショットで勝負を決めたシーンは、彼の「クラッチプレイヤー」としての評判をさらに高めることとなった。

チームに与えた影響:ブルズの黄金時代

ジョーダンがミッドポストでのプレーをマスターしたことで、シカゴ・ブルズは大きく黄金期を迎えた。彼がこのエリアを支配することで、チームのオフェンスの幅が広がり、他のプレーヤーが自由に動きやすくなったためだ。

ブルズはジョーダンを中心としたトライアングル・オフェンスに、相手チームのディフェンスは常に悩まされることになった。3Pラインのシューターやゴール下にカットインした選手たちにスペースが生まれ、チーム全体がバランスの取れた攻撃を展開することができた。

このように、ジョーダンがミッドポストプレーヤーとして成長したことで、ブルズは1990年代にリーグを席巻し、6度のNBAチャンピオンシップを獲得する黄金時代を獲得した。

プレースタイルの進化:『最強のアスリート』から『the GOAT』へ

ミッドポストでのプレーを取り入れることで、ジョーダンはアスリートから、より完璧なプレーヤーへと進化を遂げた。彼は自分の身体能力に依存するだけでなく、技術やバスケットボールIQを磨き、相手ディフェンスを破壊するプレースタイルを確立した。

ジョーダンの進化は、彼の第一線でのキャリアの継続をもたらし、成長し続けたことを示している。 身体能力のピークは過ぎても、彼は自分のプレーに新しい要素を取り入れ、年齢を重ねても高いレベルで競い続けることができた。

まとめ:ジョーダンの遺産

ジョーダンのキャリアを語る上で、ミッドポストでのプレーは欠かせない要素となっている。ミッドポストでのプレーをマスターしたことでジョーダンは自分の持つ能力を最大限に活かせるようになり、ただのアスリートタイプの選手から脱却したのである。

ジョーダンがミッドポストプレーヤーとして成功を収めたことは、NBA全体にも影響を与え、その後の世代のプレーヤーたちにとっても重要な教訓となっている。

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