166-レブロン・ジェームス
02-03シーズン、キャブスは17勝65敗というチーム史上最悪の成績を残す。
チームは否定するが、それは高校生ながらすでに“キング”と呼ばれる神童を獲得するためだった。
しかし、それが大きな賭けであることに変わりはない。
ドラムの中で回るピンポンボールに運命は託される。
ドラフト1位指名権を引き当てる確率はナゲッツと同じ22.5%。
もしも大病を患い、主治医から「手術の成功率4分の1以下です」 と宣告されたら、あなたはその手術を受けることができるだろうか?
キャブスは迷わなかった。
レブロンには『Yes』と即答させる魅力と実力があったからだ。
そしてロシアンルーレットは幸運にも彼らに微笑む。
ドラフト1位指名権を引き当て、レブロン獲得に成功する。
そしてデビューイヤー、レブロンは期待通りの活躍を見せ、新人王を獲得する。
あとは光り輝くこの逸材をサポートするメンバーを集めていけばいい。
レブロンの1年目はチームも35勝14敗と、勝ち星を前年より18増やしイースタン9位。
8位セルティックスとわずかに1ゲーム差だった。
リーグ最低勝率を残したチームは、1シーズンにしてプレーオフ目前まで辿り着いたのだ。
キャブスは光の射す方角に確実に歩み始めた。
しかし、フロントはレブロンの放つ眩さに一瞬目がくらんだのか、成長著しいカルロス・ブーザーを交渉時の脇の甘さから手放してしまう。
ゴール下でブルーワーカーに徹するブーザーは、スターを輝かせるには必要不可欠な存在だったにもかかわらずだ。
それでもドリュー・グッデン獲得で、決定的な損失とはならなかったが、キャブスの進む先に暗雲が立ちこめ始める。
3ポイントシューターの不在、 レブロンがベンチに下がったときのスコアラーの不在、チームの弱点も露になってしまい、最終成績は42勝40敗。
前年からは7つの勝ち上積みしたものの、またもやイースタン9位。
8位のネッツとは同率だったにもかかわらず、直接対決の結果、またしてもプレーオフ進出はならなかった。
追伸、話題性もスケールも才能も契約も桁外れの大型新人だった頃のレブロン・ジェームス。
ルーキー時代から相当なプレッシャーと戦ってきた。
ジョーダン依頼の大器と言われていたレブロンは、もしかすると過去のどのルーキーよりも彼に対する期待度は高かったかもしれない。
この時NBAでまだ1試合もしていないのに、7年間9000万ドルという破格の待遇でナイキに迎えられた。
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