137-コービー・ブライアント
コービー・ブライアント伝説の81得点を徹底解説
序章:歴史に刻まれた一夜
NBAの長い歴史の中で、個人の得点記録といえばウィルト・チェンバレンの「100点ゲーム」が不滅の象徴として語られてきた。だが2006年1月22日、ステイプルズセンターでコービー・ブライアントがラプターズ相手に叩き出した「81点」は、それに次ぐスーパーパフォーマンスとして永遠に残ることになる。この夜は単なる個人記録ではなく、チームを絶望的な状況から救い出した勝利の物語でもあった。
前半:淡々と積み上げられた26点
試合開始から、コービーはいつもどおりのリズムでオフェンスに参加していた。ラプターズの守備は徹底的に彼を止めようとしたが、ミドルレンジのジャンパーやペイント内でのフィニッシュ、さらにフリースローで確実に加点。
前半終了時点での得点は26点。この数字自体は驚異的だが、コービーにとっては「いつもの延長線」に過ぎなかった。観客もまだ、この夜が伝説になるとは思っていなかったはずだ。
後半開始:18点ビハインドの現実
後半開始早々、レイカーズは18点差をつけられ、会場には敗戦ムードが漂い始める。シャックが移籍した後、ロスターの層が薄く、得点源のほぼ全てをコービーに頼らざるを得ない状況。ここでコービーが目覚める。
本人も「別次元に入った」と表現したゾーン。以降の時間は、ラプターズのディフェンダーが誰であろうと関係なかった。
ショットセレクションの多彩さ
この81点が単なる「ボリュームスコアリング」ではなかったのは、得点のバリエーションにある。
- ジャンパー:マークが近くてもリリースの高さと正確さでねじ込む。
- 3Pシュート:この試合では13本中7本成功。効率の高さが際立つ。
- ドライブからのレイアップ:接触を恐れず、柔らかいタッチで決める。
- ダンク:流れを変える豪快な一撃で会場を揺らす。
- フリースロー:20本中18本成功。集中力を切らさず着実に積み上げた。
まさに“全方位からの攻撃”。ラプターズは守り方を変えても全く通用しなかった。
チームを勝利へ導いた逆転劇
試合は次第にレイカーズのペースに傾く。コービーの連続得点で点差は縮まり、気づけば逆転。
普通なら「個人記録」と「チーム勝利」は相反することが多い。しかし、この日のコービーは両立させた。81点という途方もない個人得点が、そのまま勝利への方程式となったのだ。
歴史的な数字:81点の内訳
- 前半:26点
- 後半:55点
後半だけで55点というのは、NBAでも前例のないレベルの爆発力だった。
最終的にフィールドゴールは46本中28本成功。FG成功率60.9%。単なる打ちまくりではなく、高効率で決め続けたからこそ81点に到達できた。
「100点は可能か?」への回答
試合後、記者から「100点は可能か?」と問われたコービーは「不可能ではない」と答えている。実際、この試合は4Qの残り数分で点差が開いたため、コービーはやや手を緩めている。もし接戦で、最後まで全力で攻め続けていたら、延長を戦うことが出来たならチェンバレンの100点を更新していたかもしれないと考えるファンも多い。
81点の意味:歴史とレガシー
このパフォーマンスの意味は単なる記録更新にとどまらない。
- 個人技の極致:1対1で絶対的な自信を持ち、どんな守備にも屈しなかった象徴。
- 勝利と直結:81点がチームを逆転勝利に導いたことで、ただの自己満足ではなくなった。
- マンバメンタリティの体現:負けている状況でも諦めず、牙を剥いて勝利をもぎ取る姿勢。
これらが重なり、81点は「NBA史上最も美しい得点記録」と言える。
当時の反響と今なお語られる理由
試合翌日、全米のスポーツ紙は一斉にコービーを一面で報じた。
「コービーがラプターズを焼き尽くした」
「歴史を超える瞬間を目撃した」
ファンはもちろん、選手や指導者からも称賛の声が相次いだ。
そして今でも81点は「現代バスケットボールにおける最高到達点」として語られている。なぜなら、3Pやペースが速い現代でも、ひとりでここまで効率的に得点することは容易ではないからだ。
結論:コービー81点は“伝説”ではなく“現実”
コービー・ブライアントの81点ゲームは、チェンバレンの100点に次ぐ歴代2位の記録。しかしその内容は効率、状況、勝利の重要性を考えると「事実上の最高の得点記録」と言ってもいい。
本人ですら「夢にも思っていなかった」と語った夜。それを現実に変えたのが、マンバメンタリティの化身であるコービーだった。
あの試合を観た人々にとって、1月22日はただの冬の夜ではない。NBA史が震えた夜として、永遠に記憶され続ける…。
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