72-ジョシュ・スミス
「身体能力お化け」という異端の才能。
ハイライトに愛された男
ジョシュ・スミス。この名前を聞いてピンとくる人間は、2000年代後半のNBAを見ていた者だ。
スラムダンクコンテストに出場し優勝はした。しかし類まれな身体能力をキャリアの成績に生かし切ったわけではなかった。
それでもジョシュ・スミスのプレーは、多くのNBAファンの脳裏に焼きついている。
理由は単純。**「とにかく身体能力が異常だった」**からだ。
ガードの動きをするPF
6フィート9インチ(約206cm)、100kg超の体格でありながら、ジョシュ・スミスの動きはガード並みに滑らかだった。
しかもそれを、走りながら、ジャンプしながら、相手のブロックをいなしながらやってのける。
ホークスが速攻に転じると、観客は彼が飛び込んでくるのを期待してスタンバイする。
彼が一歩リードを取れば、あとは空中戦。後ろから追いかけてくるディフェンダーに背中を見せながら、ワンハンドでブチ込む姿はまさに猛禽類。**”空を切り裂く鷲”**とでも言いたくなるような存在だった。
滞空時間は歴代屈指
レブロン・ジェームズやビンス・カーターと比較しても、**「空中に浮いてる時間」**で勝るとも劣らないのがジョシュ・スミス。
速攻やオフボールのカッティングから、リングに向かって加速していくと、そこからが異次元。
踏み切った瞬間、「え、まだ飛んでるの?」と思うほど滞空時間が長い。
実際に、彼のダンクは”打ち下ろす”のではなく、**「浮かびながら叩きつける」**印象が強かった。
ボディコンタクトを受けながらも空中でバランスを崩さず、なおかつリングにねじ込むその力強さ。
見る者を一瞬で夢中にさせるアスレチック能力だった。
守備面でのインパクト
ジョシュ・スミスはブロッカーとして異彩を放っていた。
2006–07シーズン、1試合平均2.9ブロック。2007–08も2.8ブロック。
しかし、彼のブロックは単なるスタッツのためのものじゃない。
相手のダンクに合わせて後方から飛んできて、空中で叩き落とす。
もしくは1対1でボールを持つガードにスイッチして、そのタイミングを完全に読み切って手を伸ばす。
タイミング、予測、跳躍、すべてが噛み合ったとき、彼のブロックは芸術になる。
“オールラウンダー”の輝きと限界
ジョシュ・スミスの最大の武器は、そのオールラウンド性にあった。
得点、リバウンド、アシスト、ブロック、スティール。すべてを高水準でこなす選手。
1試合で5部門すべてで高い数字を記録する“5ツールプレイヤー”でもあった。
誰もが「この男を軸にチームを作ってもいいのでは?」と一度は思った。
しかしスタッツ上のバランスはとれていたが、突き抜けるまでには至らなかった。
そして2013年にFAでホークスを離れる。
デトロイト・ピストンズに大型契約で移籍するも、戦術にフィットせず中盤で解雇。
その後はヒューストン、クリッパーズと渡り歩いたが、かつての輝きは取り戻せなかった。
NBAの中でも屈指のアスレティック能力
トップアスリートが集まるNBAの中でも屈指の身体能力を誇り、天賦の才から繰り出されるダンクやブロックは圧巻。
いま、彼のプレー集をYouTubeで見ると、あらためてその凄さがわかる。
あの滞空時間、あのバネ、あのブロック。
ジョシュ・スミスという存在が、**”NBAというエンタメの幅広さ”**を象徴していたように思える。
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