397-トニー・パーカー
球団創設37年目で初のファイナルにたどり着いたキャブスに対し、ここ5年で3度目のファイナルとなったスパーズはファイナルでの戦い方を熟知していた。
大手をかけて迎えた第4戦の終盤、一時リードを奪われるも堅守からのランで鮮やかに逆転勝利。
スイープで2年ぶり4度目のリーグ制覇を成し遂げた。
ファイナルMVPに選ばれたのは平均24.5点、5.0リバウンド、3.3アシストを記録したトニー・パーカー。
欧州出身選手として初の戴冠となった。
チームの精神的支柱はティム・ダンカンだが、このころには得点面でチームをリードする存在になっていたトニー・パーカー。
特にゴールへのドライブがうまく、驚異的なスピードでディフェンスを崩し、PGとしてはFG%が高かった。
何よりペネトレイトからのティアドロップがそうさせた。
19歳でNBA入りし、スパーズに所属し、名称をグレック・ポポビッチHCからポポビッチHCから「ウチはジェイソン・キッドを取りに行くから、そのつもりでいろ」と言われたこともあったそうだ。
だが流動性のあるスパーズ・システムの下でプレーする事で、チームプレーの中で自分の得点力を生かすことを学んでいった。
それがチームメイトからの信頼を得ることにつながり、パーカーをただのペネトレイターではない特別な選手に成長させた。
「若いポイントガードにとって最も難しい部分は、ボールを持つために正しい選択をして、チームメイトやコーチから信頼と尊厳を勝ち取ることなんだ」。
追伸、西高東低真っただ中の2000年代のNBAは、負け越しでもプレーオフに進出できたイーストと、勝ち越しでもプレーオフに進出できないウエストという現状があった。
スパーズがキャブスを圧倒するという結果は、ファンにとっては何の驚きもないものだった。
パーカーが「キャバリアーズがもしウエストだったら何位ぐらい?」との問いに「7~8位くらいかな。」とコメント。
実際はもっと差があったかもしれない。
そのような状況では世間の興味を喚起することも難しく、優勝が決まったファイナル第4線の視聴率ですら、わずか6.5%にとどまってしまった。
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