236-マイケル・ジョーダン
ジョーダン自身の好きなクラッチプレーは82年のNCAAチャンピオンシップゲームで、ノースカロライナ大の優勝を決定づけたショットであると言う。
マイケル・ジョーダンという名前がアメリカで重要になった日、それは82年3月29日と言える。
NCAAトーナメントの決勝戦が行われた日であるこの年のNCAA決勝は、ノースカロライナ大とジョージタウン大の顔合わせになった。
ノースカロライナ大の先発には上級生中心のチームづくりが目立つ同校には珍しく1年生の選手がいた。
ジョーダンである。
前半わずか4得点に留まっていたジョーダンだが、後半になると並みいる先輩たちを押しのけ、12点をマーク。
その最後の2点が後の人生を決定づけることになるシュートとなった。
白熱する試合は残り1分を切ってジョージタウン大が62対61と逆転。
ノースカロライナ大はボールを敵陣に運んだところでタイムアウトを要求した。
残り32秒。
ここでディーン・スミスヘッドコーチは誰にシュートを打たせるか悩んだと言う。
「自然に考えれば3年生のジェームズ(・ウォージー)か、2年生のサム(・パーキンス)にシュートを打たせるところだった。しかしそうなるとボールがインサイドに入るので、相手のパトリック・ユーイングのブロックが心配だった。そこで相手のゾーンディフェンスにパスで揺さぶりを掛け、コーナーからジャンプシュートをマイケルが決めるというデザインを描いた」
そしてタイムアウトの最後にスミスはジョーダンにこう言い残す。
「もしパスが回ってきたら決めるんだ」
ジョーダンは頷いた。
プレッシャーはなかったのだろうか?
「プレッシャー?ああいった場面で僕はプレッシャーなんて感じない。自然にプレイするだけだ。それにコーチの言葉から信頼されていることが分かったし、それが自信を産んでくれた」
スミスの描いたデザイン通り、フリーになったジョーダンにパスが回ってきた。
ゴールに向かって左側ベースライン付近、ゴールまで16フィートのシュート。
ボールは綺麗にネットに吸い込まれた。
ジョーダンはこのシュートの意味をこう振り返る。
「あのシュートが自分のキャリアの可能性を広げてくれたことは間違いない。それにさらなる自信を僕に植え付けてくれた」
優勝を果たした後の夏、ジョーダンは弱点の強制に取り組んだ。
それはジャンプシュートだった。
「あのシュートを決めてから、最も遠くからジャンプシュートを決められるようになりたいと思ったんだ」
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