188-アレン・アイバーソン
■ 初めてのFAで突きつけられた“現実”
アレン・アイバーソンが初めて完全FAになった2009年夏。
あのアイバーソンが「契約先を探す立場」になるなんて、誰が想像しただろう?
2008-09シーズン、デンバーからデトロイトへ移ったアイバーソンは、
“シックスマン扱いへの拒絶”とともにチームと関係が悪化し、最終盤はほぼ出場しないままシーズンを終えた。
この一年は、アイバーソンのキャリアにとってターニングポイントであり、
「彼をスター扱いできるチームはもうNBAには存在しない」という、厳しい評価がリーグ内で固まってしまった時期でもあった。
FAになった彼は当然、“スター待遇のオファー”を求めた。
しかし実際は、どのチームもアイバーソンを主力として迎え入れる覚悟を持っていなかった。
コンテンダーも再建中のチームも、彼をシステムに組み込むイメージが湧かなかったのだ。
この時点で、アイバーソンはキャリア最大の“市場価値の急落”を体験している。
■ メンフィス・グリズリーズが最初に動いた理由
そんな中、もっとも早く手を挙げたのがメンフィス・グリズリーズだった。
元々メンフィスはオファーに積極的で、夏の初期段階では
**「1年・約500万ドル」**という、そこそこ誠意のある金額を提示していた。
理由はシンプルで、
「若いロスターにベテランスターを加えて集客力と競争力を上げたい」
という経営的・チーム的な狙いがあったから。
当時のメンフィスは若いチームで、
ザック・ランドルフ、OJ・メイヨ、マイク・コンリー、マーク・ガソルがこれからブレイクする直前。
実績ある“顔”がいない状態だった。
アイバーソンの加入は、マーケティング面でも、若手のメンターという意味でも、プラスが大きいと判断された。
■ しかしアイバーソンは“待った”。好条件を求めて
メンフィスの初期オファーは悪くなかった。
でもアイバーソンは“他にもっといい返事が来るはずだ”と信じていた。
本心では、優勝を狙う強豪チームからのオファーを待っていた。
レイカーズ、マイアミ、ダラス…当時の噂はいろいろあったが、結局どこも真剣ではなかった。
そして、待っている間にメンフィスの提示額はじわじわダウンしていく。
最終的に提示されたのは 「1年・350万ドル」。
前年デトロイトで稼いだ2194万ドルからすると、およそ1/6以下。
アイバーソンは“スターとしての評価”と“市場の現実”のギャップを突きつけられた。
■ それでもアイバーソンがメンフィスを選んだ理由
理由ははっきりしている。
「他に選択肢がなかった」
本人も薄々わかっていた。
だから会見で「神が俺の居場所としてメンフィスを選んだ」と言った言葉には、
“自分を鼓舞するため”の意味が強かった。
実際、本人はこの契約を“再起の舞台”にするつもりだった。
再評価されれば、翌年に優勝候補からのオファーにつながる…
そんな青写真を描いていた。
■ しかし、たった3試合で溝が生まれる
メンフィス加入後の問題は、あまりにも早く訪れた。
開幕してわずか3試合目。
アイバーソンはベンチスタートだった。
すると試合後のロッカールームで、
「スタメンを約束していたはずだ」
という強い不満を口にしてしまう。
メンフィス側の主張はあくまで、
“若手中心のチームなので、序盤は調整しながら起用する”というものだった。
だが、アイバーソンは違った。
「俺はまだスターとして扱われるべきだ」
という自負が揺らいでいなかった。
この価値観のズレこそが、メンフィスとアイバーソンの関係を決定的に悪化させる。
■ チームは若手育成、アイバーソンは主役の座を求めた
メンフィスは若手を育てたい。
とくにコンリーは、ここからの成長が期待されていた。
しかしアイバーソンは「控え扱い」を受け入れるつもりがなかった。
彼にとって“ベンチスタート”は自分の存在を否定されるような感覚だった。
コンリーとアイバーソンのどちらを優先するか。
フランチャイズが迷うはずもない。
未来ある若手を育てる方を選ぶに決まっている。
ここで完全に噛み合わなくなった。
■ そして突然の離脱、メンフィスとの別れ
わずか3試合出場・計47分。
それが、アイバーソンがメンフィスで残したすべてだった。
「個人的事情」でチームを離れ、
そのまま双方合意で契約解除。
NBA史上でも稀な“スターの突然の終幕”だった。
この一件は、リーグ全体に
「アイバーソンはもうスターとして扱えない」
という印象を決定付けた。
その後フィラデルフィアが一時的に救済したが、
もはや全盛期の輝きに戻ることはなかった。
■ まとめ──メンフィスは“終わりの始まり”だった
・アイバーソンは初FAで理想を追いすぎた
・市場価値の急落を受け入れられなかった
・メンフィスは若手育成優先、アイバーソンは主役の座を要求
・たった3試合で破綻し、チームを離脱
“神が選んだ場所”と言ったメンフィスは、
アイバーソンのキャリアにとって皮肉にも 終わりの始まり になった。
もし、あの時彼が“6thマンとしての役割”を受け入れていれば…
NBAの歴史は少し違っていたかもしれない。
ただしそれは、“アイバーソンらしさ”は失われ、アイバーソンという存在のレガシーにとってはマイナスかもしれない。
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