NBAポスターコラム179:ウィルト・チェンバレンとカリーム・アブドゥル・ジャバ― ──“身体能力だけじゃない”怪物たちのテクニック論

NBAポスターコラム
179-GREATEST50

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バスケットボールの歴史で、本当の意味で“規格外”と呼ばれる選手は少ない。
ただデカいだけでも、跳べるだけでも、強いだけでも、歴史の頂点には立てない。
そこに「スキル」が加わったとき、初めて“伝説”になる。

その象徴が、ウィルト・チェンバレンとカリーム・アブドゥル・ジャバーだ。
ここでは“単なる肉体派”という浅い評価ではなく、彼らがなぜNBAを支配できたのか、技術という切り口から深掘りしていく。


■ ウィルト・チェンバレン:巨体で“センタームーブの概念”を作り変えた男

● 216cmで異常な俊敏性──ただのサイズじゃ止まらない

ウィルトの凄みは、216cmのサイズを持ちながら、それを“巨人の動き”に見せなかったことだ。
直線的なスピード、トップスピードに乗るまでの加速、ストップ&ゴーの切り替えの速さ。
数字では表せない“身軽さ”があり、普通のセンターでは追いきれない場面が多かった。

ただ、ウィルトの魅力は身体能力だけではない。

● パワープレイだけじゃない、“重心の使い方”が異常にうまい

ウィルトは接触を前提としたパワームーブだけが武器、という誤解を受けやすい。
実際は真逆で、
「当たる角度」「力を逃がす位置」「軸足の切り替え」
この細かな要素を理解した上で動いていた。

たとえば、ゴール下のポストプレイでも

・強い接触が来る瞬間に重心を半歩ズラす
・ディフェンスの体重が動いた瞬間にスピンへ切り替える
・腕を伸ばし切るギリギリの位置でシュートコースを作る

こういった“微妙なズレの作り方”が異常にうまい。
これこそがラッセルを相手にしても得点を生み出せた理由だった。

● タッチが柔らかい──巨人なのに“強くねじ込まない”

もうひとつの特徴は“タッチの繊細さ”。
ウィルトはパワーで押しつぶすタイプと思われがちだが、実際は逆だ。
ゴール付近では力でねじ込むより、
「軽く当てる」「ふわっと置く」「角度で決める」
この3つで点を取る選手だった。

巨体なのに、タッチは繊細。
それが60年代のセンターの常識を壊した。

● ラッセル相手に平均28.7点──“読み合いに勝てるセンター”

ビル・ラッセルとの対決は、力 vs 力ではなかった。
むしろ技術と読み合いの勝負だった。

ラッセルの守備は歴代1位クラスだが、ウィルトはその上をいった。

・ラッセルが飛ぶ角度を誘導する
・腕を見せずにシュートの出し手を隠す
・タイミングのずらし方を何種類も持つ

その結果、ラッセル在籍時のセルティックス戦で平均28.7点という驚異的数字を残した。
これは“力任せでは絶対に出ない数字”であり、ウィルトが技術で対抗した証明でもある。


■ カリーム・アブドゥル・ジャバー:技術の結晶体“スカイフック”の支配力

● スカイフック──ただのシュートではなく“試合の仕組み”

カリームを象徴するのが、もちろんスカイフック。
だが、これは単なる“必殺技”というレベルではない。

・打点が高い
・体を外に逃がす
・腕の角度が一定じゃない
・左右どちらでも打てる
・タイミングが読みづらい

この組み合わせによって“ブロック不能”という概念を生み出してしまった。

NBA75年で、唯一「守れる選手が存在しないシュート」といってもいい。

● 地味に見えて支配している“フェイクの質”

カリームの1on1で最も恐ろしいのは、フェイクが魔術師のように効くこと。

・首だけ動かすヘッドフェイク
・肩を入れるショルダーフェイク
・視線だけで重心を動かすフェイク

どれも小さくて地味なのに、相手は引っかかる。
これは動きの速さではなく“精度”の勝利だった。

● 長寿の理由は“身体能力に依存しない技術構造”

カリームが40代まで得点源として機能したのは、技術が老化の影響を受けにくいからだ。

・スカイフックの打点は衰えにくい
・フェイクはむしろ経験で精度が上がる
・ポスト技術は体力より知識がモノを言う

その結果、20年という超ロングキャリアを実現した。


■ ウィルトとカリームに共通する“怪物の条件”

一見するとタイプは違うが、両者には明確な共通点がある。

● ①「サイズ × 技術」が歴史級のバランス

ウィルトは“走れる巨人”。
カリームは“技術を極めた巨人”。

巨大な選手が技術を覚えたとき、NBAは別競技になる。
2人はその現実を証明してしまった。

● ② 肉体に依存しない技術構造

どちらも“老化で崩れにくい技術”を持っていた。
これが歴史的な安定感につながった。

● ③ ゲームを“仕組みごと”変えた影響力

ウィルトがセンター像を変え、
カリームがスキルの価値を引き上げた。

この2人がいなければ、オラジュワンやヨキッチのような“技巧派センター”は存在していない。


■ 技術の進化がNBAの歴史を動かした

ウィルトはサイズの常識を壊し、
カリームは技術の常識を作り変えた。

“デカい選手が技術を持つとNBAは変わる”。
その最初の答えが、この2人だった。

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