177-アレン・アイバーソン
「1on1で世界をねじ伏せた男」アレン・アイバーソンという現象
とあるインタビューで、アレン・アイバーソンは答えた。
NBAでプレーする気分はどうだった?
A.I「簡単だったよ。」
なんだって?
A.I「入ることもプレーすることもさ。
俺には1on1がある。
1on1では誰にも負けないからね」。
チーム戦術とかシステムとか、そんなものを軽々と飛び越えてしまう圧倒的な個の破壊力。
PGというポジションの枠に収まらず、SGの役割を背負いながら、リーグでも最も小柄な部類のサイズでゴールを陥れる。
NBAの歴史を振り返っても、アイバーソンほど“個人技そのもの”で勝負できる選手はほとんどいない。
ここでは、彼の1on1の構造、攻撃の仕組み、メンタル、そして01年ファイナルでレイカーズと対峙したときに何が起きていたのかまで、掘り下げて話していく。
◆ クロスオーバーは「技術」じゃなく「武器」だった
アイバーソンの代名詞といえば、もちろんクロスオーバー。
だが彼のクロスは、単なる“切り返し”の技術じゃない。相手の体重移動、視線、重心の高さまで読み切ったうえでの“心理戦”だった。
● ① 最初の揺さぶりで相手の思考を止める
アイバーソンは基本的にスピードが桁違いに速い。
ディフェンダーは「抜かれるかもしれない」という恐怖が常にある。
だからこそ、ほんの小さなフェイクでも反応せざるを得ない。
そこがアイバーソンの勝ちパターンだった。
● ② 相手が重心をずらした瞬間に切り裂く
一歩、半歩でも動けば終わり。
アイバーソンはその瞬間にペネトレイトを開始する。
“反応したら勝負あり”という、ほとんど反則のような世界。
● ③ 体をぶつけながらのレイアップでファールも奪う
当時のNBAはディフェンスがめちゃくちゃ激しい時代。
それでも彼は身体を飛び込ませ、コンタクトを受けながら点を取り続けた。
小柄だからこそ発揮できる重心の低さと瞬発力。
これはサイズの大きい選手には真似できないアドバンテージでもあった。
◆ ストップ&ジャンパー:止まる技術で勝負する天才
ディフェンスが引き気味ならクロスからの突進。
逆にチェックが厳しい場合には、左右に振って急停止し、ジャンパー。
これがまた異常にうまい。
● ① 「止まる」ことでディフェンダーの勢いを利用する
アイバーソンは加速と同じくらい減速がうまい。
派手な動きに目が行きがちだが、本当のキモは“止まる能力”だった。
ディフェンスが一歩前に出てきた瞬間にピタッと止まる。
こうすると相手は体勢を崩し、その上からミドルレンジのジャンパー。
● ② 小柄ゆえに放物線の美しいシュート
身長が低いとブロックされやすいと思われがちだが、アイバーソンは打点の高さではなく角度で勝負していた。
高い放物線でリングに吸い込まれていく。
あれは“才能”よりも“努力”の結晶としか言いようがない。
◆ ステップバック:完全に距離を支配する技
アイバーソンの1on1で見逃せないのが、ステップバック。
現代のハーデンやルカのような派手なバックステップではなく、
最もシンプルで、最も効果的な“間合い作り”。
● ① ペネトレイトの脅威があるから後退が効く
常にドライブが怖い相手だからこそ、距離を空けても追ってこない。
これがステップバックが刺さる最大の理由。
● ② 自らのテンポで試合の呼吸を掌握する
アイバーソンの1on1は速いだけじゃない。
わざとリズムをずらし、ゆっくり見せて急に仕掛ける。
あの“拍子抜けするような間”が、ディフェンスの読みを外す。
◆ ファールを誘う1on1:IQと経験の結晶
アイバーソンはスコアラーのように見えて、実は相当賢い。
特に1on1でファールをもらう技術は、リーグでも屈指だった。
● ① ボディコンタクトを自分から作る
あえて身体をぶつけて、ディフェンスが手を出す形を待つ。
これは相手の反応を完全に読み切ってないとできない。
● ② フィニッシュの柔らかさ
ファールを受けてもシュートをまとめる。
これがあるからアンドワンが多く、得点効率も高かった。
◆ 「スコアリングジャンキー」と呼ばれた理由
彼のバスケは“点を取ること”が核にある。
だがそれはチームプレーを拒否したわけではない。
● チームが求めた役割に応えただけ
01年シクサーズのロスターを思い出せば分かる。
彼以外、安定して20点を取れる選手はいなかった。
「アイバーソンが点を取るしかなかった」
これが事実だ。
ディフェンス偏重のチーム構造のなかで、彼はオフェンスの全責任を背負っていた。
それを“ジャンキー”と呼ぶのは簡単だが、実際のところは“孤独な重役”だった。
◆ 01年ファイナル:敗北よりも輝きが残った理由
2001年のNBAファイナル。
レイカーズのシャック&コービーは史上最高レベルのデュオ。
正直、誰が相手でも勝てないほどの完成度だった。
だがあのシリーズを記憶しているファンの多くは、
「レイカーズが勝った」よりも**「アイバーソンが燃え尽きるまで戦った姿」**を強く覚えている。
● ① ゲーム1の“ステップオーバー”が象徴
タイロン・ルーをクロスで崩し、倒れたルーを跨いで決めたジャンパー。
あの瞬間、世界中のファンが「これがアイバーソンだ」と震えた。
● ② シャックとコービーよりも“心を動かした”理由
・サイズの不利
・戦力差
・ディフェンスに削られ続ける身体
それでも諦めない姿勢が、ファンの感情を揺らした。
NBAでは“勝者”が歴史を作る。
でも、01年だけは少し違った。
敗者の側にいるアイバーソンのほうが、心を奪った。
これは稀なケースだ。
それだけ彼のプレーに「人を惹きつける何か」があったということ。
◆ アイバーソンという存在は何だったのか
結局、アイバーソンは“スタッツ以上の存在”だ。
・1on1で世界を切り裂く技術
・小柄でもゴールに到達する勇気
・誰よりも背負い、誰よりも倒れて、それでも立ち上がる姿勢
勝った、負けたの次元を超えて、NBAに衝撃を与えた選手だった。
そして今でも世界中で愛されるのは、
「自分のサイズでも世界を変えられる」と体現したから。
アレン・アイバーソンは、才能だけの物語じゃない。
“覚悟”と“反骨心”と“美学”が交錯した、人間ドラマそのものだった。
追伸、1on1の為のボールをもらうときの動きを「アイバーソンカット」と呼ばれてNBAに定着している。
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