「正統派PG」としてジェイソン・キッド以来の評価を受ける20歳のクリス・ポール。

ゲームメイク、得点力、ディフェンスの三拍子が揃った万能型ガード、クリス・ポールだが、PGは成熟に時間を必要とするポジションだ。

それ故、新人選手ではその役割を果たすことは極めて難しい。

だが、そんな定石を打ち破る活躍を見せていたのが、当時のホーネッツのルーキー、クリス・ポールだった。

「コート上の指揮官」として前年18勝に終わったチームを見事に再生させ、新人PGとしてはジェイソン・キッド以来の高い評価を受けた。

ポールのプレースタイルは、「正統派PG」の一般的なイメージである、パスを駆使してチームメイトをオフェンスの流れに引き込む。

運動能力を生かした鋭いドライブ、 プレーの一歩先を読む頭脳。

このふたつを武器に、敵ディフェンスを翻弄し、絶妙のアシストを次々に繰り出していく。

「うちには運動能力の高い選手がたくさんいるからね」と弱冠20歳のポールは言う。

「僕の仕事は、皆にボールを届けることさ」。

ポールが活躍すればするほど、オフェンスのリズムが良くなり、チームが活気づく。

「アイザイア(トーマス/元ピストンズの名PG)を彷彿とさせる選手」とニックスのへッドコーチを務めるラリー・ブラウンは言う。

さらに「ニューオリンズよりも早い指名権を持っていた友人に、彼をドラフトするようにしつこく言ったのだがね。彼は驚異的だよ」と続けた。

“ポール効果”で、ホーネッツは変貌を遂げた。

オフにはハリケーン・カトリーナの被害で、大半のホームゲームをオクラホマシティでプレーすることを余儀なくされたチームが、勝ち星から20勝を上乗せし、プレーオフも夢ではなかった。

平均観客数も、 リーグ最下位から大幅にアップした。

ポール自身は16.7得点、7.8アシスト、5.1リバウンド、2.2スティールの成績を残して、新人王投票では125票中124票を獲得という圧倒的支持で新人王を獲得する。

「CP3」は1年目から世界中のPGから目指される存在へと昇華した。

追伸、ポールは自らのポジションについて、ホーネッツ時代のインタビューでこう語っている。

「NBAでプレーするガードなら得点能力が誰でも高いレベルにある。高校生くらいの時からその能力は既に十分なはずだ。選手の心構えとして、得点に生きるのか、パスに生きるのか、リバウンドに生きるのか、大体この3つのどれかを選び、自分の役割、ポジションを決めることになる。僕はパスを選び、PGとしてプレーしようと心に決めた」。

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