NBAポスターコラム141:レギュラーシーズンで61勝を達成したワンツーパンチ、ジャーメイン・オニールとロン・アーテスト。

NBAポスターコラム
141-J’オニール&アーテスト

141-ジャーメイン・オニール&ロン・アーテスト

ペイサーズの柱、ジャーメイン・オニールとロン・アーテストの時代

若き大黒柱ジャーメイン・オニール

2000年代前半のインディアナ・ペイサーズを語るとき、必ず中心にいるのがジャーメイン・オニールだ。もともとポートランドでほとんど出番がなく、4年目にしてようやくペイサーズへ移籍。そこから一気に才能を開花させた。
211cmの長身でありながら機動力を持ち、柔らかいタッチと体幹の強さを兼ね備えたローポストスコアラー。フック、フェイダウェイ、そしてフィジカルで押し込む力強さまで幅広い武器を持っていた。

2001-02シーズンには平均19.0得点・10.5リバウンド・2.3ブロックを記録し、MIP(最成長選手賞)を獲得。以降はリーグ屈指のビッグマンとしてオールスター常連となり、ペイサーズの攻守の軸になった。守備でもショットブロックの間合いの広さと空中でのタイミングの良さで、ゴール下を支配していた。

モンスター・ディフィンダー、ロン・アーテスト

オニールと並んでチームを支えたのがロン・アーテスト。デビュー当初からディフェンスの獰猛さで知られ、2003-04シーズンには最優秀守備選手賞を獲得。体重112kgの屈強な体を誇りながら、相手のエースを徹底的に封じ込めるスタイルでリーグ全体に恐れられていた。

だがアーテストは守備だけではなかった。ポストアップで小さな相手を押し込み、豪快なフィニッシュに持ち込む。さらに切れ味鋭いドライブからフィジカルで押し切る攻撃も得意で、得点力も兼ね備えていた。ペイサーズにとっては攻守両面で欠かせない存在だった。

ラリー・バード体制の野心

当時のペイサーズは、ラリー・バードがバスケットボール部門のトップとして采配を振るっていた。チームにはベテランのレジー・ミラーも残り、オニールとアーテストの台頭によって、「優勝できる」リアルな戦力が整いつつあった。
バードは守備に重きを置き、組織的なディフェンスを徹底。その結果、ペイサーズはリーグ屈指の守備チームへと進化していった。

立ちはだかったピストンズ

しかし、彼らの前に大きく立ちはだかったのがデトロイト・ピストンズだった。チャウンシー・ビラップス、リチャード・ハミルトン、テイショーン・プリンス、ラシード・ウォーレス、ベン・ウォーレス――。派手さはなくとも鉄壁の守備で相手を窒息させる、まさにブルーカラー軍団。

2003-04シーズン、ペイサーズはリーグ最高の61勝を記録。イースタンカンファレンスを制し、ファイナル進出に大きな期待がかかった。だがカンファレンスファイナルで当たったのが、そのピストンズだった。

シリーズは激しい守備戦になり、フィールドゴール成功率は互いに40%を切る消耗戦。結局ペイサーズは2勝4敗で敗れ、ピストンズがNBAファイナルに進出。そのままシャック&コービー擁するレイカーズを破り、優勝を果たすことになる。

運命を分けた第6戦

特に象徴的なのが第6戦だった。勝てば第7戦に持ち込める状況で、ペイサーズは最後まで粘った。しかしこの試合、アーテストが痛恨のフレグラントファウルを犯してしまう。強烈なフィジカルプレーは彼の持ち味でもあったが、判定は重く、流れは完全にピストンズへ傾いた。

アーテストの退場は精神的な打撃となり、チームはファイナル進出を逃した。もし彼が冷静さを保っていれば――という「もし」は、今なおファンの間で語られるテーマだ。

ペイサーズに残された“未完の可能性”

オニールはその後もペイサーズで得点・リバウンド・守備の中心を担い続け、アーテストもリーグ屈指のディフェンダーとして存在感を放った。だが2004-05シーズンの悪名高き「マリス・アット・ザ・パレス」(ピストンズ戦での乱闘事件)が起こり、チームの未来は大きく狂うことになる。

本来なら優勝を狙える戦力を持っていたペイサーズ。だがアーテストの気性の激しさや、オニールの度重なるケガ、そして時代の流れに押し流され、ついに栄冠を掴むことはなかった。

ピストンズとの因縁が示したもの

ペイサーズとピストンズの対決は、単なる勝敗以上のものを示していた。両者とも守備を軸にチームを築き上げ、泥臭いプレーで勝利を目指すスタイルを体現していたからだ。

だが最後に勝ったのは、冷静さと徹底した組織を貫いたピストンズだった。アーテストのファウルやペイサーズの精神的な脆さは、ほんの小さな差かもしれない。だがプレーオフの頂上決戦では、その小さな差が運命を分ける。

結論

ジャーメイン・オニールとロン・アーテストのコンビは、2000年代前半のペイサーズをリーグ屈指の強豪に押し上げた。オニールは攻守万能のビッグマンとして、アーテストはディフェンスの怪物として、確実に時代を動かした存在だった。

しかし彼らが優勝に届かなかった最大の理由は、「あと一歩の冷静さ」と「運」。ピストンズとのシリーズ第6戦は、その象徴的な瞬間だった。
もしアーテストのファウルがなければ、もしペイサーズがファイナルに進んでいたら――。その歴史の“もし”は、今もNBAファンの記憶に強く刻まれている。

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