タイリーク・ハリバートンが最も評価されているスキルはファシリテーター。すなわち攻撃を円滑に進める能力である。単なるプレーメーカーにとどまらず、相手DFの動きなどに合わせて瞬時に適切なプレーを選択できる感性がなければ務まらない。大学時代にハリバードと対戦したデズモンド ・ベインは「ディフェンスが見過ごしたり1秒でも判断が遅れたりすると彼は確実にそこをついてくる」。アルバマ大のネイト・オーツHCも「スペーシングが重要な今のNBAには彼のようにペイントに攻め込むことができて、的確な判断力を持ち、ディフェンスでスイッチできる選手はピッタリと合う」と成功を確信していた。196cmと ポイントガードにしては大柄なハリバートンは、子供の頃から背が高くセンターを任されていたという。それでもリバウンドを取る役目では物足りず、「ポイントガードもできるんです」 とコーチに懇願し、自らボール運びをしているうちに、それが本業になっていった。中学校に進むと全ての試合を母のグレンラがビデオに収録しそれを再生しながら自らのプレーを分析した。キングスからトレードの知らせを聞いた時には「この街でネクスト・ C-wbb(クリス・ウェバー)になると決意していたハリバートンは大きく落胆した。
だが「オールスター選手のドマンタス・サボニスを手放してまで獲得した選手が、そこそこのレベルで終わるわけにはいかない。僕はそれだけの責任を負っているんだし、それこそ自分が求めているものだと決意を新たにした」という。ちなみにキングスではディアロン・フォックスとポジションがかぶったため、トレードされたわけだが、相手が25歳であり オールスターにも選出されたサボニスとであるにもかかわらず、ペイサースとキングスのトレードを評価は以下のようなものだった。
「キングスはD+ ペイサーズはA。のプレーオフにどうしてもらいたいキングスは補強を焦ってハリバートンを失う近視的な動きに出た」。「ペイサーズはA+再建中のチームでこれ以上に良いトレードは考えにくい。キングスはGかH。サボニスのようなギリギリオールスター選手を獲得するためになぜハリバートンとバディ・ヒールドを出してしまうのか」。 これほどキングスに厳しい評価だった。この時点でサボニスがFAであったのも当然としてあげられる。現実には翌シーズンにキングスをプレーオフに導く活躍を演じた。延長契約にも合意したのでキングスとっても実りのあるトレードになった。その点では記者たちの評価は間違っていたことになるのだが、メインの交換相手だったタイリーク・ハリバートンがそれ以上の選手に成長したというまでだ。
ハリバートンは2024年12月28日のブルズ戦で21得点、20アシストをマークすると30日のニックス戦では22得点、自己最多&球団タイ記録の23アシストをマーク。2試合連続の「20-20」は、史上最高のポイントガードに上げられるマジック・ジョンソンとジョン・ストックトンしか達成していない偉業で33年ぶりに記録を掘り起こした。
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