ジョーダンを押して決めた3ポイント…1998年カンファレンス・ファイナルの真実とは?

1998年カンファレンス・ファイナル:ジョーダン vs. ミラーの激闘

1998年のイースタン・カンファレンス・ファイナルは、NBAの歴史の中でも語り草となる名シリーズだった。このシリーズは、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズとレジー・ミラーがエースを務めるインディアナ・ペイサーズが激突したもので、ジョーダンとミラーという2人のスーパースターがぶつかり合う姿が注目された。特に、第4戦でのレジー・ミラーの逆転劇は、多くのNBAファンの記憶に深く刻まれている。

ミラーの「逆転3ポイントシュート」とその背景

1998年のカンファレンス・ファイナルの第4戦、残り時間わずか2.9秒で、ペイサーズは93-94と1点のビハインドを背負っていた。その瞬間にレジー・ミラーが放ったのが、あの伝説の逆転3ポイントシュートだ。この一撃でペイサーズはブルズに勝利し、シリーズを2勝2敗のタイに持ち込むことに成功した。

このシュートは単なる「クラッチショット」以上の意味を持っていた。当時のコーチ、ラリー・バードも「レジーで行くプレーだった。絶対に決めると思っていたよ」と語っているように、チーム全体がミラーに託した一瞬だった。

ジョーダンを押した?ミラーの殿堂入りスピーチでの告白

この第4戦の逆転シュートは、NBAファンの間でも議論を呼ぶシーンとなっている。レジー・ミラーは後の殿堂入りスピーチで、「あの時、ジョーダンを押した」と告白している。シュートに至るまでの動きの中で、ミラーがジョーダンに接触し、少し押しのける形でスペースを確保していたのだ。この接触が決定的なファウルだったのか、それともプレイの一環だったのかは、今でも意見が分かれているが、少なくとも審判の目にはファウルと映らなかった。

ミラーはジョーダンのような超一流のディフェンダーに対しても、いかなる手段を使っても勝利をもぎ取る姿勢を見せていた。この「押し」はその象徴であり、ミラーの精神的な強さを物語っている。

右足首の負傷とミラーの不屈の精神

レジー・ミラーは、このシリーズで身体的にも限界に挑戦していた。第3戦でミラーは右足首をひどく捻挫し、明らかに痛みを抱えた状態で試合を続けていた。普通の選手ならば、パフォーマンスが大幅に低下するような怪我だ。しかし、ミラーは痛みに怯むことなく、試合に集中し続けた。そして、この負傷を抱えたまま第3戦では28得点を叩き出し、チームにとって不可欠な存在であることを改めて証明した。

この不屈の精神は、インディアナ・ペイサーズというチーム全体の士気をも高めた。ペイサーズはブルズを相手に一歩も引かず、第7戦までシリーズを持ち込んだ。その過程でミラーは、シリーズを通じて平均17.4点という安定した得点力を維持し、エースとしての役割を全うした。

第7戦のミラー:最後まで闘い抜いたエース

1998年のカンファレンス・ファイナル第7戦は、NBAファンにとって忘れられない試合の一つだ。この試合で、シカゴ・ブルズは最終的にペイサーズを倒し、シリーズを4勝3敗で勝ち抜けた。しかし、この敗北がペイサーズにとってどれほど惜しいものだったかは、試合内容を見れば明らかだ。

第7戦でもミラーは22得点を記録し、勝利への強い意欲を見せた。この試合を通じて、彼はペイサーズの精神的リーダーとして、またブルズに対抗する最大の武器としてチームを引っ張った。しかし、最後はジョーダンとその仲間たちが一枚上手だった。ブルズの勝利は予想されていたものではあるが、ペイサーズは決して簡単に屈することなく、シリーズを通じて強豪ブルズに対して真っ向から挑んだ。

ミラーとジョーダン:ライバル関係の象徴

このシリーズを語る上で、避けて通れないのがマイケル・ジョーダンとレジー・ミラーのライバル関係だ。ジョーダンはNBA史上最高の選手とされるが、そんな彼に真正面から立ち向かった数少ない選手の一人がミラーだった。

彼らの間には長年にわたる対戦歴があり、特にこの1998年のカンファレンス・ファイナルはその象徴と言える。ジョーダンのフィジカルと技術、そしてミラーの精神的強さとシューターとしての圧倒的な自信が、コート上で衝突する瞬間は、NBAファンにとって至福の時間だった。

ミラーは決してジョーダンに屈することなく、常にその影の下で輝きを放ち続けた選手だ。彼が殿堂入りスピーチで語った「ジョーダンを押した」という言葉は、単なるエピソード以上に、彼のジョーダンに対するライバル心と、その裏にあるリスペクトを象徴している。

レジー・ミラーの評価とレガシー

最終的に、1998年のシリーズはペイサーズが3勝4敗で敗退したが、ミラーのプレーは今でも語り草となっている。彼の闘志と勝利への執念、そしてクラッチシューターとしての能力は、このシリーズを通じて改めて証明された。

レジー・ミラーは、NBAの歴史の中で最も偉大なシューターの一人として評価されている。彼の3ポイントシュートは、多くの試合でチームを救い、特にこの1998年のブルズ戦でのパフォーマンスは、彼のキャリアにおいて最も象徴的な瞬間の一つだ。

ミラーの精神的リーダーシップ

ミラーは単なる得点源ではなく、チームの精神的なリーダーでもあった。彼のプレーは、単なる技術の高さだけではなく、その背後にある意志の強さや勝利への飢えが表れていた。負傷しても戦い続ける姿勢や、ライバルであるジョーダンに対して全力で立ち向かう姿は、NBAの歴史に残る名場面の一つだ。

まとめ

1998年のカンファレンス・ファイナルは、マイケル・ジョーダンとレジー・ミラーのライバル関係が最も鮮明に表れたシリーズだった。ブルズが最終的に勝利を収めたものの、ミラーの逆転3ポイントシュートや怪我を押して戦い続けた姿は、多くのNBAファンの心に深く刻まれている。ミラーは、このシリーズを通じてクラッチシューターとしての名声を確立し、NBAの歴史にその名を刻んだ。

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