優勝に手が届かなかった才能溢れるチーム:2000年代初期のサクラメント・キングス
栄光に最も近づいたチーム
NBAの歴史には、多くの優勝候補チームが存在したが、最終的に栄冠を手にすることができなかったケースが少なくない。その中でも、2000年代初期のサクラメント・キングスは、その才能とチームの完成度から、最も優勝に近かったが、最後の一歩を踏み出せなかったチームの一つとして語り継がれている。
キングスは、当時の西高東低の時代において、ウェスタン・カンファレンスの中でもトップクラスのチームだった。プレーオフ進出は当然のごとく、チームのセカンドユニットだけでもプレーオフに進出できるのではないかと囁かれるほどの層の厚さを誇った。しかし、チャンピオンシップには一歩届かなかった。その背景には、ロサンゼルス・レイカーズという巨大な壁が立ちはだかっていた。
クリス・ウェバー:キングスの大黒柱
クリス・ウェバーは、サクラメント・キングスのエースとしてチームの中心に立っていた。ウェバーは1998年5月にキングスに移籍し、その後すぐにチームのリーダーとして活躍を始めた。特に1998-99シーズンには、リバウンド王を獲得し、キングスの躍進を支えた。
ウェバーは、リーグを代表するオールラウンダーであり、得点、リバウンド、アシストのすべてでチームに貢献した。当時、彼は間違いなくリーグNo.1のパワーフォワードとして位置づけられていた。ウェバーの存在が、キングスをタイトル争いに絡ませる原動力となり、2002年にはロサンゼルス・レイカーズをあと一歩まで追い詰める立役者となった。しかし、彼のキャリアにおいて最大の栄光、NBAチャンピオンの座を手にすることは叶わなかった。
マイク・ビビー:堅実な司令塔
キングスのポイントガードとして、チームの攻撃を指揮したのがマイク・ビビーだ。ビビーは身長188cmとNBAのPGとしては決して大きくなかったが、非凡な集中力とIQの高さでサイズのハンディキャップをカバーした。彼は、無駄打ちが少なく、着実にネットを射抜くことで、キングスのオフェンスを支えた。
特にビッグゲームでの強さを発揮したビビーは、その堅実さとクラッチタイムでの冷静さから、キングスの成功には欠かせない存在だった。
ペジャ・ストヤコビッチ:セルビアのガンマン
サクラメント・キングスのウイングポジションを支えたのが、セルビア出身のシューター、ペジャ・ストヤコビッチだ。ストヤコビッチは、208cmの長身ながらも、右腕が振り子のようにスムーズに動く特殊なフォームから、3ポイントを量産することで知られていた。
彼は2年目からすでにシーズン100本以上の3ポイントを成功させ、2003-04シーズンには自己ベストの240本を記録。成功率は43.3%でリーグ6位にランクインし、リーグ屈指のシューターとしての地位を確立した。また、彼のショットはクイックリリースであり、ディフェンスが近くにいても容易に放つことができたため、3Pコンテスト向きのスキルセットを持っていた。
特に、2002年と2003年の3ポイントコンテストでは、ヨーロッパ出身の選手として初めて優勝を果たし、しかも連覇を達成している。この偉業は、彼の実力が世界的に認められた証拠だ。
ダグ・クリスティ:守備の要
キングスのディフェンスの中心には、ダグ・クリスティがいた。クリスティは、リーグ屈指のディフェンシブ・ガードとして知られ、相手チームのトップスコアラーを封じ込める役割を担っていた。彼の守備力は、キングスのディフェンスを支えるだけでなく、相手チームのオフェンスの流れを断ち切る重要な役割を果たした。
クリスティの守備は、単なるマンマークにとどまらず、チームディフェンス全体をリードする役割を果たした。彼の存在が、キングスが堅実なディフェンスチームとして評価される要因の一つであり、キングスがプレーオフで強豪チームと互角に戦える要因でもあった。
ブラデ・ディバッツ:多彩なセンター
キングスのセンターポジションを支えたのは、ブラデ・ディバッツだ。ディバッツは、ヨーロッパ出身のビッグマンとして、パスセンスとバスケットボールIQの高さで知られていた。彼は、単なるリムプロテクターにとどまらず、チームのオフェンスを組み立てる役割も担っていた。
特に、ディバッツのハイポストからのパスは、キングスのオフェンスにおいて重要な役割を果たし、チームメイトたちのカッティングや外角シュートを生かすプレーを多く生み出した。彼の多彩なスキルセットが、キングスのオフェンスを一段とレベルアップさせ、チームの成功に大きく貢献した。
ボビー・ジャクソン:頼れる6thマン
キングスのベンチから飛び出す頼れる6thマンとして活躍したのが、ボビー・ジャクソンだ。ジャクソンは、スコアリング力とエネルギーでチームに貢献し、ベンチメンバーがコートに出ている間でもキングスがペースを落とさないようにする役割を果たした。
ジャクソンは、ベンチからの得点源としてだけでなく、ディフェンスでも貢献し、相手のリズムを崩すプレッシャーをかけ続けた。彼の活躍が、キングスがベンチメンバーでも戦えるチームであると評価される要因の一つだった。
あと一歩届かなかった理由
サクラメント・キングスが優勝に手が届かなかった理由はいくつかあるが、その中でも最も大きな要因は、ロサンゼルス・レイカーズという巨大な壁だ。シャキール・オニールとコービー・ブライアントという歴史的なデュオを擁したレイカーズは、2000年代初頭に圧倒的な強さを誇り、キングスを幾度となく苦しめた。
特に、2002年のウェスタン・カンファレンス・ファイナルは、NBA史上に残る激闘として知られており、第7戦までもつれ込んだシリーズは、キングスがあと一歩でファイナル進出を果たせるところまで来ていた。しかし、その一歩が踏み出せず、栄冠はレイカーズの手に渡った。
結論
2000年代初期のサクラメント・キングスは、NBA史上最も才能に恵まれたチームの一つでありながら、優勝には届かなかった。その要因として、西高東低のリーグの激しさ、特にロサンゼルス・レイカーズの存在が挙げられる。しかし、クリス・ウェバー、マイク・ビビー、ペジャ・ストヤコビッチ、ダグ・クリスティ、ブラデ・ディバッツ、ボビー・ジャクソンらが築き上げたチームが残した足跡は深く、NBAの歴史において特別な存在であり、サクラメントのフランチャイズにおいて彼らのプレーは今でも語り継がれている。
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