ドイツ出身の7フッターはマブスに初優勝をもたらし、自身のシグネチャームーブもNBAに刻んだ。

「夏の勝者が一年後、春の勝者になるとは限らない」。

この年、シーズンオフの一番の勝ち組たったのがマイアミ・ヒート。

チャンピオンリングを求めてキャリアの晩年に集まったスター選手のチームではなく、全盛期に集まることができた“スリーキングス”を相手にマブスは優勝。

ダーク・ノビツキーがレジェンドになった瞬間だった。

ノビツキーは多彩なテクニックを持つヨーロッパ出身で最高のプレーヤー。

そのノビツキーのシグネチャームーブが“ワンレッグ・フェイダウェイ・ジャンパー”。

ドライブでインサイドに切り込み、ストップと同時にジャンプシュートを放たれたら、どんなディフェンスでも止めることはできない。

またポストアップからの放つ片足フェイドアウェイは、現在のプレーヤーも重宝するシグニチャームーブだ。

そのシグネチャームーブの威力は11年のファイナルでノビツキーに何度も決められたレブロン・ジェームズをして「7フッターが片足で飛んで、フェイダウェイを打つなんてブロック出来るわけがない」と言わしめた程だった。

身長が高く、同時に高い位置でリリースする彼のジャンパーはブロック不可能。

ノビツキーは元々ジャンパーが得意だったところに、サイズを生かしたポストアップをマスターしたことで、1on1でもアンストッパブルとなった。

ポストアップ後、ターンした足でジャンプし、シュートを決めてしまうことでこともできる。

相手がブロックのタイミングをずらされるので対応する術はほとんどない。

汚れ仕事を担うハードワーカーといった位置づけが、まだかすかに残る90年代後半にデビューし、着実に成長し、実績を残していった。

キャリアの3P成功率は38%を誇り、アウトサイドを警戒されると今度はドライブでチャンスを生み出した。

ただ最大の必殺技はやはり片足フェイダウェイ。

ポストアップから片足で飛び、一方の足を相手の前に残しスペースを作って放たれる一発はブロック不可能だった。

ノビツキーはシュート力と機動力を兼備した新時代のPFだった。

そしてダラスマーベリックスに初めての優勝をもたらしたことが、何よりもノビツキーをレジェンドたらしめている。

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