02-03シーズン、クリーブランド・キャバリアーズは17勝65敗というチーム史上最悪の成績を残す。
チームは“タンク”を否定するが、それは高校生ながらすでにキングと呼ばれる神童を獲得するためだった。
しかし、それが大きな賭けであることに変わりはない。
ドラフト1位指名権を引き当てる確率は、ナゲッツと同じ22.5%だった。
しかしキャブスは迷わなかった。
レブロンには『Yes』と即答させる魅力と実力があったからだ。
そしてロシアンルーレットは、幸運にも彼らに微笑み、ドラフト1位指名権を引き当て、レブロン獲得に成功する。
レブロンの1年目はチームも35勝47敗と、勝ち星を前年より18増やし、イースタン9位。
8位のセルティックスとわずかに1ゲーム差だった。
リーグ最低勝率を残したチームは1シーズンにしてプレーオフ目前まで辿り着いたのだ。
レブロンは期待通りの活躍を見せ、新人王を獲得する。
フロントの仕事は光り輝くこの逸材をサポートするメンバーを集めていくフェーズに突入する。
しかし、フロントはレブロンの放つ眩さに一瞬目がくらんだのか、成長著しいカルロス・ブーザーを交渉時の脇の甘さから手放してしまう。
ゴール下でブルーワーカーに徹するブーザーは、スターを輝かせるには必要不可欠な存在だったにもかかわらずだ。
それでもドリュー・グッデン獲得で、決定的な損失とはならなかったが、穴埋め感は拭えず、キャブスの進む先に暗雲が立ちこめ始める。
3ポイントシューターの不在、 レブロンがベンチに下がったときのスコアラーの不在、チームの弱点も露になってしまい、レブロンの2年目の最終成績は42勝40敗。
前年からは7つの勝ち上積みしたものの、またもやイースタン9位。
8位のネッツとは同率だったにもかかわらず、直接対決の結果、 またしてもプレーオフ進出はならなかった。
その後、レブロンの成長もありキャブスはプレーオフ常連になる。
だが、ブーザー流出はことのほか大きく優勝には手が届かなかった。
2007-08シーズンには平均30.0点で前年王者のコービー・ブライアントを抑え、レブロンが得点王に輝いた。
しかし、それは他に頼れるスコアラーがおらず、ほぼ独力でオフェンスを牽引した形だ。
実際にこのシーズンのチーム2位はシードルナス・イルガスカスの平均14.1点だった。
「自身を点取り屋じゃない」と評するキングにとって、得点王はさほど大きな意味を持たないという。
そう言いながら得点王のタイトルを獲得してしまうのがレブロン・ジェームスの凄さの1つ。
言い換えれば「いつでも得点は取れる」が、第一次キャブス時代のレブロン・ジェームスは、チャンピオン・リングを獲得するには、まだ大きな壁があった。
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