NBAポスターコラム105:ブレイク・グリフィンとザイオン・ウィリアムソン、時代が変えた“怪物”の見え方とは・・・。

NBAポスターコラム

105-ブレイク・グリフィン

ブレイク・グリフィンとザイオン・ウィリアムソンをつなぐ線

ブレイク・グリフィンの衝撃的デビュー

2010-11シーズン。1年目をケガで棒に振り、満を持してNBAデビューを果たしたブレイク・グリフィンは、ルーキーとしていきなりリーグを席巻した。208cmのパワーフォワードが見せるのは、ゴールへ突き刺さるような圧倒的ダンク。しかもただのダンクではない。片手で叩きつけ、ディフェンダーの頭上を飛び越え、リングを破壊するかのような衝撃。彼がプレイするたびに、観客は「またやってくれるのでは」と期待し、実際にその期待を裏切らない。

NBAの歴史を振り返っても、これほどルーキーシーズンから「ハイライト常連」になった選手は稀だ。ジョーダン、アイバーソン、レブロン…彼らもデビューから注目を浴びたが、グリフィンは「ダンク」という一点突破でリーグ全体を熱狂させた。これはビンス・カーター以来だ。特に2011年のスラムダンクコンテストで車の上を飛び越えるパフォーマンスを披露したシーンは、彼のキャリアを象徴する瞬間になった。

SNS時代の前に現れたスター

ただし、当時はまだSNSが今ほど浸透していなかった。YouTubeはあったが、再生回数を稼ぐ仕組みや拡散力は今ほどではない。TwitterやInstagramも黎明期。だからこそ、グリフィンのダンクはテレビのスポーツニュースや「NBAトップ10」で見られるのがメインだった。もし彼の全盛期がSNS全盛の現在と重なっていたら、そのインパクトはもっと爆発的に広がっていただろう。

つまりグリフィンは、「SNSが未熟な時代に、自力で世界に名前を轟かせた稀有な選手」だった。これは裏を返せば、現代のバスケファンが彼をリアルタイムでSNS越しに追えなかったことを少し惜しくも思える。

ザイオン・ウィリアムソンの“動画時代”

一方でザイオン・ウィリアムソンは、まさにSNS時代の産物だった。高校生の頃からYouTubeやTwitterにダンク動画がアップされ、驚異的な身体能力が全世界に共有されていた。彼がまだプロになる前から、世界中のファンが「次の怪物」を知っていたのだ。

ザイオンの動画はただのプレイ集ではない。ハーフコートからドライブしてリングを破壊するダンク、相手を吹き飛ばすパワー、空中での滞空時間。これらがスマホで簡単に見られるから、爆発的に拡散した。大学デビュー前にすでにスター性が保証されていたのは、SNSと動画プラットフォームの存在が大きい。

ルーキーインパクトの比較

グリフィンとザイオン、この二人は「登場の仕方」が対照的だ。

  • グリフィンはNBAのコートに立った瞬間、その身体能力を爆発させて人々を魅了した。未知の衝撃が突然やってきた感覚。
  • ザイオンはすでに高校時代から「来るぞ、来るぞ」と予告されていた。実際にNBAにやってきた時、ファンはすでに“怪物が現れる準備”ができていた。

グリフィンのインパクトは「リアルタイムの衝撃」。ザイオンのインパクトは「期待が確信に変わる瞬間」。同じように爆発的な身体能力を持ちながらも、その受け止められ方はSNS時代の差が如実に表れている。

ダンクという“武器”の進化

両者に共通するのは、やはり「ダンク」という武器の強烈さだ。
NBAの歴史を振り返れば、ジュリアス・アービングやドミニク・ウィルキンス、ショーン・ケンプ、ヴィンス・カーターなど、ダンクで時代を象徴する選手は数多い。しかしグリフィンとザイオンは、その中でも「肉体で相手を圧倒する」という意味で特異な存在だ。

  • グリフィンのダンクは“バネと爆発力”。ジャンプ力と身体のしなりで相手を置き去りにする。
  • ザイオンのダンクは“パワーと重力無視”。120kgを超える巨体が宙に浮き、リングに叩き込む。

どちらも「人間離れしたフィジカル」だが、質が違う。SNSがなければザイオンの破壊力を早い段階で世界が共有することはなかっただろうし、グリフィンは逆にSNSがあればさらに伝説化していた。

“もし”の視点で見る二人のスター

ここで「もし」の視点で考えてみたい。
もしグリフィンの全盛期がSNS全盛の2020年代に重なっていたらどうだったか? 彼のダンクは毎試合ごとに切り抜かれ、TikTokやInstagramで拡散され、バスケを知らない層にまで届いただろう。NBA2Kやストリートブランドとのコラボも加速していたはずだ。

逆に、もしザイオンがSNSのない90年代にデビューしていたらどうか? 高校時代の映像はせいぜい一部のスカウトしか見られず、彼の評価はNBA入りまで未知数のままだったはず。つまりザイオンの「怪物ぶり」は今ほどのバズを生まず、実際のデビュー戦まで世界は待たされたことになる。

NBAにおける“発信力”の重要性

この二人の比較から見えてくるのは、NBAにおいて「発信力」がどれほど重要かということだ。才能や身体能力はもちろんだが、それをどのように広めるかでスターの規模は変わる。グリフィンの時代はまだテレビ主体。ザイオンはSNSで世界中に存在を知らしめることができた。だからこそ、彼はプロ入り前から「ブランド」として完成されていた。

まとめ

ブレイク・グリフィンはSNS以前の時代に、自らのダンクで世界を驚かせた天才だった。
ザイオン・ウィリアムソンはSNS時代に、すでに伝説として認知されてからNBAにやってきた。

両者の違いは「時代のメディア環境」によって生まれたものだが、共通しているのは「人々の記憶に残るインパクト」を持っていたこと。ダンクというシンプルかつ最も観客を熱狂させるプレーを武器に、二人はNBAの歴史に名を刻んでいる。

そしてこの比較は、バスケットボールにおける“才能の評価”が、プレーだけでなく「どのように世界に伝わるか」で決まる時代に突入していることを象徴している。

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