NBAポスターコラム85:ガーネット・ピアース・アレン――3人が見せた究極の化学反応とは…。

NBAポスターコラム

85-ボストン・セルティックス・ビッグ3

ボストンBIG3の真髄

究極の組み合わせが生んだ攻防の完成形

2007年の夏、NBAはひとつの転換点を迎えた。
ケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レイ・アレン――それぞれがキャリアのピークを迎えつつあった3人が、ボストン・セルティックスに集結。
万能ビッグマン、高IQフォワード、純度の高いシューターという、まるでバスケットボールの教科書が描く理想形のような組み合わせが完成した。

このBIG3は単なるタレント集結ではなかった。
オフェンスでもディフェンスでも、役割が自然に分担され、互いの弱点を補い合い、強みを最大化していた。
「3人とも20得点できる」「3人とも守れる」――この条件を満たすチームはNBA史でも珍しい。


コート全体を支配するオフェンスマップ

ボストンBIG3の最大の武器は、コートのどこからでも点が取れるバランス。
それぞれの持ち場が明確でありながら、被ることがないため、相手ディフェンスは常に広く引き延ばされ、隙を突かれる。

  • 3Pライン:アレン & ピアース
     レイ・アレンのシュートレンジは文句なし。スクリーンを駆使してオフボールから飛び出し、キャッチ&シュートで一撃。
     ピアースもまた、3Pを高確率で沈められる。スタンドスティルでも、ドリブルからでもOK。
     この2人が両ウィングにいるだけで、相手ディフェンスはペイントを固められなくなる。
  • ミドルレンジ:ピアース & ガーネット
     ピアースはドライブのフェイクからミドルを打てる。ポストアップ後のターンアラウンドも得意。
     ガーネットは17フィート前後からのジャンパーを高確率で沈めるビッグマン。スクリーン後のポップアウトでも威力を発揮した。
  • ペイントエリア:ガーネット
     ローポストでのフェイダウェイ、フック、逆サイドへのパスアウト。
     ペイントを制圧するだけでなく、インサイドからアウトサイドへ展開できるビジョンも持っていた。

この配置が、まるで「立体的なトライアングル」のように機能していた。


レイ・アレンのオフボール・マジック

アレンは単なるシューターではなかった。
むしろオフボールでの動きの巧みさこそが最大の武器だった。
ベースラインを駆け回り、トップからバックドアカットし、ピックを連続で利用して一瞬のマークミスを誘発。
ディフェンスはアレンを1秒でも見失うと即失点に直結するため、常に全力で追いかけざるを得なかった。

この「追わせる負担」が、他の2人にとっても恩恵をもたらした。
アレンのマークマンがスクリーンに引っかかっている間、ガーネットはローポストで1on1を仕掛けられ、ピアースはドライブのスペースを確保できる。
3Pだけでなく、カットやミドルでの得点もあるため、守りは常に二択を迫られる。


ポール・ピアースのIQ

ピアースは「バスケットIQの高いスコアラー」だった。
身体能力で圧倒するタイプではなく、リズムとタイミングで相手を崩す。
トップからの1on1、ポストアップ、キャッチ&シュート、ドライブイン――あらゆる得点手段を持っていた。

さらにフリースロー獲得能力も高い。相手ディフェンダーを巧みに引っかけてファウルをもらう。
このプレースタイルは、接戦の終盤で真価を発揮する。
ビッグゲームでのクラッチショット成功率は、チーム全員からの信頼を集めていた。


ケビン・ガーネットの万能性

ガーネットは「万能ビッグマン」の代名詞だった。
ペリメーターからのジャンパーだけでなく、ポストアップからのパスアウトも巧み。
セルティックスのセットプレーでは、ハイポストに位置し、味方の動きを見ながらパスを捌く“司令塔”の役割も果たしていた。

特に特徴的なのが「ペイント外からペイント内へ引き戻す動き」。
ミドルを警戒したDFを前に引き出し、そこからカットインして簡単なレイアップを作り出す。
また、オフェンスリバウンド後の即シュートも高確率だった。


ディフェンスでのシナジー

このBIG3は攻撃だけではない。
実はディフェンスこそが、チャンピオンシップを勝ち取った最大の理由だった。

  • ガーネットのカバー範囲
     インサイドだけでなく、スイッチして外まで守れる。リムプロテクトとペリメーターディフェンスを両立できる稀有な存在だった。
  • ピアースの1on1対応力
     相手のエースウィングをタフにマーク。スティールとリバウンドでも貢献。
  • アレンの規律ある守備
     アレンはスティール狙いよりも、相手シューターを徹底的にマークし続ける粘着守備が光った。

守備ではロンドやパーキンスも含めたチーム全体のローテーションが完璧。
相手の得点源を潰しながら、トランジションで先手を打つスタイルは、2008年のプレーオフでレイカーズを圧倒する要因になった。


役割分担と信頼関係

BIG3が成功した理由は、誰もがエゴを抑え、役割を全うしたことにある。
ガーネットはリーダーシップと守備のアンカー、ピアースはクラッチの得点源、アレンはスペーシングと爆発力。
お互いが自分の持ち場を理解し、相手を活かすプレーを惜しまなかった。

特に印象的なのは、シュート本数のバランス。
1試合平均でピアース15〜17本、アレン13〜15本、ガーネット12〜14本と、ほぼ均等。
スターが集まるとボールの奪い合いになりがちだが、この3人は真逆だった。


2008年の頂点

このチームの完成形は、2008年NBAファイナルでのレイカーズ戦。
ゲーム6、131-92の大勝で優勝を決めた試合では、まさに“全員が持ち場で仕事をした”という象徴的な内容だった。

  • ガーネット:20得点、14リバウンド、守備での支配
  • ピアース:17得点、10アシスト、試合の流れを操る
  • アレン:26得点、7本の3Pで会場を沸かせる

攻防のバランスと化学反応が、これ以上ない形で結実した瞬間だった。


まとめ:バランスこそ最強

ボストンBIG3は、単なるスター集結ではなく、「役割が噛み合った理想形」だった。
コート全体を支配するオフェンスマップ、規律と機動力を兼ね備えたディフェンス、そしてエゴを超えた信頼関係。
このトリオが見せた完成度は、現代のスーパー・チームにとっても教科書のような存在だ。

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