長いNBAファンなら、それぞれ持っている忘れがたい思い出の数々。
私の場合、その中の1つが、このバロン・デイビスの一発。
デイビスはとにかく強靭なフィジカルと驚異的な身体能力を持つ選手だった。
ゴール下にペネトレイトして、力強い踏切りからの跳躍、からの空中でパワーで相手を押しのけて豪快に叩き込んだ。
04-05シーズン、低迷続きだったウォリアーズが、 ここ数年で初めてチームらしいチームになった。
プレーオフ出場こそ逃したものの、後半戦に猛烈な追い上げを見せたのだ。
この年の2月にバロン・デービスを獲得した後は、18勝10敗と好成績。
11年ぶりとなる8連勝も達成した。
その立役者こそがデービスであることは一目瞭然だった。
移籍を機に復活したチームの新核弾頭は、このシーズンラスト15試合に限れば、平均23.9点、10アシストとダブル・ダブルの成績。
4月には2週連続の週間MVP(NBA史上8人目)も達成している。
チームの攻撃と守備の広範囲で大きな役割を果たすことも多く、ゆえにデイビスの調子がチームの勝敗を左右することも少なくなかった。
だからこそケガによる離脱も多いことを含めて、司令塔としてはもう少し安定感が欲しいデービスは、体調とモチベーションを保つのが第一目標と言っても過言ではなかった。
デイビスは身長191センチメートルとながら、驚異的なスプリントスピード、クイックネス、そしてパワーを持っていた。
トランジションゲームに強く、ディフェンスの間を割ってアグレッシブにゴール下にドライブできる。
デイビスを他のポイントガードとの違いを挙げろと言われたら「重さを利用したパワー」と答える。
体格を生かしたポストアップが有効なのはまさにそれだ。
スコアリング色の強いデイビスだが、02年にはアシスト数698本と、切れ味鋭いドライブから目の覚めるようなアシストを連発している。
ディフェンスではチャンスと見るや積極果敢にボールに手を伸ばしていく攻撃的な守備を得意とした。
キャリアで年間170スティールを以上をあげたことが3度あり、08年には191本をマークした実績の持ち主は04年、07年にスティール王にも輝いている。
2003年と2004年にはNBAオールスターゲームに出場し、2003年のスキルチャレンジ優勝もしている。
そしてデイビスのリーダーシップは高く評価されている。
ゲームの重要な瞬間において冷静な判断と優れたプレーメイキング能力を発揮し、チームメイトを鼓舞する。
試合の流れを変える力を持っており、チーム全体のモチベーションを高める。
その証拠に05-06シーズン、所属する第8シードのウォリアーズが第1シードのマーベリックスを破るアップセットを起こして見せた。
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